スイス・ローザンヌで行われたローザンヌ国際バレエコンクールで、神奈川県の高校2年生・菅井円加さん(17才)が優勝した。今年で40回目となる同大会は15才から18才までを参加資格とする、いわば若手ダンサーの登竜門だ。舞踊評論家の東京女子大学佐々木涼子教授はこう評する。
「この年代では世界でいちばん権威がある大会です。世界に名を轟かせるようなプロダンサーの多くが、この大会の優勝者なんです」
9人の審査員全員一致で最高の評価を受けたのは日本人では1989年に金賞(現在は廃止)を受賞した熊川哲也(39才)以来23年ぶりの菅井さん。日本人がこれまでバレエの分野で苦手とされてきた現代舞踊でも最高の評価を受け、「コンテンポラリー賞」も受賞した。
しかし、驚くべきは決勝に進出した21人のうち5人が日本人だったこと。
「ファイナリストに5人も選ばれるなんてこれまでにありません。しかもこの大会では第1次審査にDVD審査があるのですが、これを通過した79人のうち19人が日本人でした。これは出場国19か国中最多です」(前出・佐々木教授)
昭和音楽大学舞台芸術センター バレエ研究所の調べによると、バレエ人口約40万人という日本だが、バレエ先進国であるロシアや欧米諸国に比べ、常に不利な状況にあった。日本人は欧米人に比べ手足が短く、フィギュアスケートでもよくいわれるが、どうしても演技が小さく見えてしまう。さらに環境面でも後れをとっていると、前出の佐々木教授はいう。
「日本のバレエは古典バレエとモダンバレエがきっちり分かれてしまっているため、現在欧米で主流の古典とモダンが合わさったコンテンポラリーなバレエが苦手なんです。さらに、欧州には当然のように存在する国立バレエ学校がないため、バレエをするには、どうしても民間の教室で習わなければならないのです」
※女性セブン2012年2月23日号