役人天国といわれる日本でその頂点に立つのが国会議員だ。国会議員の歳費(給与)の高さは世界一で、月給・ボーナス合わせて年間2106万円。これとは別に、歳費振り込みの個人口座には、毎月100万円の「文書通信交通滞在費」が振り込まれる。しかし、役得はまだまだある。
議員の行動は「金帰火来(きんきからい)」(金曜に地元に帰り、火曜に東京に来る)といわれ、選挙区と東京を毎週往復するケースが多い。
そのために支給されるのが「JR無料パス」(鉄道乗車証)と無料航空券(クーポン)。遠距離通勤や公務に使うというのが建て前だが、JRパスは在来線はもちろん、新幹線のグリーン車も予約なしで乗り放題だけに、不倫旅行からゴルフ、夫人の旅行まで私的流用が跡を絶たない。
自民党参院議員の鴻池祥肇・元特命相は麻生内閣の官房副長官当時、このパスで人妻と新幹線のグリーン車に乗り込み、熱海に旅行したことが報じられて更迭された。細野豪志・環境相も、あの元アナウンサー・山本モナ氏との京都旅行の際、パスで改札を通った疑惑が指摘された。
JRパスでゴルフに行くために議員を続けた強者さえいる。野党党首を務めた有力議員は年配になってからゴルフにのめり込み、国会には顔を見せずにゴルフ三昧。見かねた後輩議員に引退を勧められると、「議員を辞めたらパスでゴルフに行けなくなるじゃないか」といってのけた。議員在職30年以上を重ねた超大物の実話である。
※週刊ポスト2012年2月17日号