芸能

沢尻エリカ もう飽きたよと言いながら画面を見てしまう理由

 いったい彼女の何がこれほど人々の耳目を惹きつけるのか。整った目鼻だち、率直な物言い、解決しない離婚話題……。しかし、それだけではない。一般的な女優が持っていないある力を持っている、と語るのは、作家で五感生活研究所の山下柚実氏だ。以下は、山下氏の視点である。

 * * *
 沢尻エリカという人のお騒がせぶりにはもう飽きたよ、と言いたいところ。

 でも、ついつい彼女の姿が出てくると画面を見つめてしまう。じっと耳をそばだててしまう。今度は何を言うのかと、ある種の期待を抱いてしまう。そんな視聴者、実は多いのではないでしょうか。私もその一人です。

 いったい彼女の何がこれほど人々の耳目を惹きつけるのでしょうか。整った目鼻だち、率直な物言い、解決しない離婚話題……。しかし、それだけではない。一般的な女優が持っていないある力を、彼女は持っているのではないでしょうか。

 映画「ヘルタースケルター」で、5年ぶりに映画主演となった沢尻エリカさん。記者会見では「今日はみんな何でも聞いて帰ってください」と上機嫌。ところがやっぱりエリカ節が炸裂し、会場は一瞬凍りつきました。

 今回、エリカ節が炸裂したのは、報道陣からの「原作の過激な描写をどう表現するのか?」という質問。それに対して「作品は過激なのは分かってて、私も監督も腹くくってる。原作の世界観をどこまで再現できるかって勝負なので、その質問自体がおかしいと思う」と、質問側の問題を指摘したのです。
   
 振り返ってみましょう。一番最初にエリカ様が話題を振りまいた「問題発言」、あれも映画の感想を聞かれて「別に」「特に無いです」と返したことでした。「その問いかけ自体が無意味じゃないのか」ということを暗に指摘したエリカ様。その態度に世間が凍りついた。
 
 また、会見場で記者の質問に対して、実際にピッーと笛を吹いて「問題ある質問」を自ら制止したシーンもありました。

 そうです。エリカ様に一貫しているのは、「質問そのものを問い返す」姿勢。その質問自体がおかしい、ということを指摘するスタイル。芸能界でありそうでなかなか見られないユニークな態度です。

 なぜなら、これをやってしまうと会見自体の枠組みが一気に破壊されるから。記者が質問し会見相手が答えるという「質問と答」、記者会見のフレームそのものを、エリカ様は破壊していくのです。

 それは、哲学で言えば「フレーム問題」「メタ」とか言われる領域に近いでしょう。「メタ」(Meta) とは、「高次の」「超える」。今成り立っている約束事の、そのもう一つ超越した視点からコメントしたり、問いかけたりすること。

 ゲームの世界ではすでに「メタ発言」という言い方まであるそうですが、プレイヤーが没入しているゲーム世界の中で、メタ発言が出ると、たちまち没入感が打ち破られ、強烈な効果を発揮します。

  会見場で突然、お約束を超えた視点・メタポジションから発言し、枠組みを破壊してしまうエリカ様パワー。

 さらに興味深いのは、そうした発言が口をついて出てきてしまうというよりは、どこか意図してやっているように見える点です。でなければ、これほど何度も繰り返さないはずですから。
 
 破壊とは創造である。「だから彼女は超ユニークで超クリエイティブなんだ」と言われるような、そんな演技をぜひ映画の中でも見せてもらたい。そう期待します。


関連キーワード

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
記者会見を行ったフジテレビ(時事通信フォト)
《中居正広氏の女性トラブル騒動》第三者委員会が報告書に克明に記したフジテレビの“置き去り体質” 10年前にも同様事例「ズボンと下着を脱ぎ、下半身を露出…」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
回顧録を上梓した元公安調査庁長官の緒方重威氏
元公安調査庁長官が明かす、幻の“昭和天皇暗殺計画” 桐島聡が所属した東アジア反日武装戦線が企てたお召し列車爆破計画「レインボー作戦」はなぜ未遂に終わったか
週刊ポスト
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
NewJeans「活動休止」の背景とは(時事通信フォト)
NewJeansはなぜ「活動休止」に追い込まれたのか? 弁護士が語る韓国芸能事務所の「解除できない契約」と日韓での違い
週刊ポスト
昨年10月の近畿大会1回戦で滋賀学園に敗れ、6年ぶりに選抜出場を逃した大阪桐蔭ナイン(産経新聞社)
大阪桐蔭「一強」時代についに“翳り”が? 激戦区でライバルの大阪学院・辻盛監督、履正社の岡田元監督の評価「正直、怖さはないです」「これまで頭を越えていた打球が捕られたりも」
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん(Instagramより)
《美女インフルエンサーが血まみれで発見》家族が「“性奴隷”にされた」可能性を危惧するドバイ“人身売買パーティー”とは「女性の口に排泄」「約750万円の高額報酬」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン