慰安婦碑がソウルの日本大使館前に建設され問題となっているが、李明博大統領は日韓首脳会談で突然、慰安婦問題を持ち出した。問題はなかなか解決しそうにない。産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏が解説する。
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李大統領は日本への「国賓訪問」が実現しないまま任期を終えそうだ。年末の京都での日韓首脳会談の際、慰安婦つまり過去問題であれだけ“反日パフォーマンス”をやったのでは、日本としては宮中晩餐会付きの「国賓訪問」などもう言い出せない。
あの会談で李大統領は、ソウルの日本大使館前に慰安婦支援団体が建てた無許可の慰安婦記念像に、日本政府が不快感を表明しているのに対し「日本が韓国の要求を受け入れなければ第2、第3の記念像が建つだろう……」と居直った(?)。
外国公館前の無許可・反日施設という“不法”“非礼”はどこ吹く風だ。大統領自ら法治国家を否定したようなムチャクチャぶりだから「国賓訪問」などやれない。
韓国は年末に大統領選がある。李政権のレームダック化は急速に進みつつある。国交正常化(1965年)以来、「未完の歴史的課題」になっている天皇訪韓は李政権下でも実現しないことになる。
“皇室外交”にとって陛下の韓国訪問は、訪中実現の後、最後に残された課題だ(個人的には台湾にもぜひ行って欲しいけれど……)。それがこれまで実現しなかったのは、ひとえに韓国側の反日感情のせいである。
もう一つ、韓国で過去問題が政治的に影響を持つ限り、北朝鮮にとってはそれは“日韓離間”の格好の材料になる。北朝鮮は過去問題(歴史)をネタに韓国世論を煽動する。だから天皇訪韓では何があるかわからない、実に危ないということになる。
※SAPIO2012年2月22日号