時代の映し鏡として、半世紀もの間存続した名物番組NHK『中学生日記』が、この3月、その幕を閉じる。恋や友情、親や先生との対立、受験戦争、校内暴力、いじめ……思春期の子供たちが抱える悩みや、いやおうなく巻き込まれる社会問題を丹念に描き続けてきた。
1980年代にはいると家では個室を与えられ、「鍵っ子」が増えるなど中学生の生活環境が変化する。中学にも荒波が押し寄せ、校内暴力、登校拒否が社会問題になった。
元NHKディレクターで、番組当初から制作に携わっていた大久保晋作さんが次のように話す。
「このころ、『中学生日記』でも登校拒否や校内暴力を取り上げるようになった。生徒の髪の毛やスカートの長さを校門で待ち構えた先生がチェックしていた時代で、校則問題をテーマにした回も多かったですね」
当時の世相を反映し、ドラマにも“やんちゃ”な生徒が登場した。1986~1996年まで教師役を務めた俳優の岡本富士太(65)が振り返る。
「当時、一般の中学校のクラスは“できる・平均・不良”の割合が2・5・3だったので、オーディションもその割合で採用していました。従順そうで優秀な子を2割、平均的な“This is 中学生”を5割。そして、『身体検査したら絶対たばこ持ってそうだな』『撮影終わったらゲームセンター行きそうだな』という手に負えなさそうなのを3割です(笑い)」
その「手に負えなさそうな」生徒が、NHKの横に置いてあった自転車を“拝借”して、警察から連絡がはいったこともあった。
「あわてて警察に駆けつけ、本物の教師のように平謝りしたこともありました。始末書も書きましたよ(苦笑)」(岡本)
※女性セブン2012年2月23日号