「きんは100シャア、ぎんも100シャア」――そんな名セリフで日本中を沸かせた双子の100才、きんさんぎんさん。あれから20年が経ち、ぎんさんの4人の娘たちもいまや平均年齢93才、母親譲りのご長寿だ。彼女たちがいま、元気で幸せいっぱいに暮らしている陰には、母親から授かった教えがある。
長女・年子さん(98)「いんやあ、15年ぶりに新幹線に乗っただが、車窓から真っ白に雪をいただいた富士山が見えて、これがきれいでにゃあ。長生きできて、ほんと、よかったと思いました、ハイ」
冬の晴れた空が広がる2月初め、ぎんさんの娘4姉妹たちは名古屋から新幹線「のぞみ号」に乗って、東京駅に着いた。
好評の本誌連載がテレビ局スタッフの目にとまり、4姉妹のもとにはワイドショーなどから出演依頼が殺到。この日は、姉妹たちが東京へと招かれることになったのだ。
五女・美根代さん(89)「“きんぎんブーム”で、母に付き添って東京のテレビ局に来たことがあったけど、まさか私んらが主役になるなんて、思いもよらなんだがね」
テレビ局での収録を終えた4姉妹は、1泊した翌日、東京見物をすることになった。
やってきたのは、“観音さま”で有名な浅草寺。雷門から仲見世通りをゆっくり歩く姉妹たちは、大勢の人出にびっくり。その後、人力車に乗って、浅草界隈を散策。
三女・千多代さん(94)「生まれて初めて人力車に乗っただが。明治時代に戻ったような気持ちになったにゃあ」
近くには、開業まであと3か月に迫ったスカイツリーもそびえ立ち、4姉妹は空を見上げて驚きの声を上げた。
四女・百合子さん(91)「はっはぁ~ん、名古屋のテレビ塔よりずいぶん高いにゃあ。大工さんはどうやって建てただが、これ」
そして最後に「ぜひお参りしたい」とやって来たのが、東京は巣鴨にある“とげぬき地蔵尊(高岩寺)”。本堂に参詣してから、“とげぬき地蔵”にひしゃくで水をかけて、両手を合わせる4姉妹。
百合子さん「これだけ熱心に拝んだから、50年ぶん、いや、100年ぶんの“とげ”を抜いてもろうたにゃあ」
美根代さん「おみゃあさん、いったい幾つまで生きとるつもりだがね」
百合子さん「ハイ、200シャアまで。キャハハハ」
顔を見合わせて笑う姉妹たちの声が境内に響いた。
「おみゃあたち、あんばよう長生きして、よかったなあ」
空の上から母、ぎんさんが呼びかけてくるような東京での好日だった。
※女性セブン2012年2月23日号