レストランでカシャ、カフェでカシャ、定食屋でもカシャ。ケータイのカメラで料理やデザートを撮る人、増えてると思いませんか。とはいえ、飲食店での撮影行為に顔をしかめる人もいる。
女性セブンが計200名に実施したアンケートでも、
「個室ならともかく、シャッター音やフラッシュが不愉快」(59才・男性)、「場所と雰囲気をわきまえずに撮るのは、マナー上問題があると思う」(60才・男性)などの声が少なくなかった。
紳士と淑女の国、イギリスから観光にやってきた30代男性も、店内での撮影を「マナー違反」と認識していたが、その点はどうなのだろう。
著書、『平林都の接遇道』(大和書房)などで知られるマナー講師、平林都さんに聞いてみた。
「食事の際に、携帯電話やカメラを取り出すということ自体、やはりマナー違反といえます。まずはお店への配慮。食べることに専念することが、食事を用意してくれた人、もてなしてくれた人への礼儀ですから」
また、他の客への配慮も必要だという。
「飲食店は公共の場です。ビジネスであれプライベートであれ、あまりオープンにしたくない会合を持っている人もいるかもしれない。もし、そうした場所で撮影をされれば、“ひょっとして自分も写っていないか”と気にしながら食事をしなければならなくなってしまいます。周囲への配慮からも、飲食店での撮影は本来、遠慮すべきでしょう」
実際、高級店であればあるほど、店の側も店内での撮影に批判的。カウンターのみで料理を供する日本橋の和食店長は、
「料理は、お客様の反応を常に意識しながら作業をする、繊細な仕事です。シャッター音で気が散り、おもてなしに集中できなくなってしまうこともないとはいえません」と本音を吐露する。
ある有名イタリアンのホール主任は、
「ひと言お断りいただければまだしも、シェフが懸命に作り上げたメニューを、何の断りもなく写真に撮って、ブログなどで気軽にオープンにされてしまうことにはやはり抵抗があります。“思い出のために撮らせていただいていいですか”と問われれば、もちろん“どうぞ”とお答えするのですが…」
銀座の老舗フレンチ店長にいたっては、
「当店には政財界のVIPもお見えになりますし、写真撮影は一切お断りしております。携帯によるお料理の撮影もご遠慮いただいております」とか。
一方、「お店の宣伝にもつながるかもしれないですし、どんどん撮っていただきたいですね。『撮っていいですか?』と聞いていただければ、『ありがとうございます。おいしそうに撮ってくださいね』とお伝えしています」(エスニック料理店のマネジャー)と、店内での撮影に積極的な店も。
要は店と他の客への配慮、そして当たり前ながら、時、場所、場合=TPOをわきまえることが大切なのだ。
※女性セブン2012年2月23日号