必ずやってくる“その日”にどう備えるべきか。“地震の巣”といわれる日本で暮らしている以上、それは「M7級直下型の到来近し」といわれる首都だけではなく、すべての地域に住む人々にとって急務な課題だ。
NECのエンジニアだった斉藤好晴さん(環境防災研究会代表)が退職金をはたいて5年前から取り組んでいる地震予知は、自身で開発した電磁波系の計測器を使って観測するというもの。
斉藤さんは3つの方法で予知に取り組んでいるというが、そのひとつ「大気重力波観測」は、衛星画像から重力波を測定して予知する。
斉藤さんが主宰する「地震前兆総合観測センター」は、ホームページで会員向けに予知の情報を発信しているが、今年にはいって、1月24日の画像をもとに、25日、
<1週間以内に千葉県東方沖を震源とするM5級の地震がくる>
と予測し発表。実際、27日に千葉県東方沖を震源とするM5.1の地震が起こった。
「重力波観測は、地面が揺れて大気を押し上げる力が上空に伝わって、地上5000~1万mにある雲をも震わせるという考えに基づいています。地上からは肉眼では見えないシマ状の雲を衛星で観測して、雲の場所、雲の面積の広さに応じてマグニチュードを予知します。
観測を始めてから1156回予想しましたが、地震予知の3要素である時期、場所、規模すべてが当たったのは、35%、2つの要素が当たったのは約60%にも及びます。もちろん、空振りも見落としもありますが、天気予報程度には的中しています」(斉藤さん)
ほかにも斉藤さんが着目しているユニークな観測方法がある。東京女子大学名誉教授の鳥山英雄さんの理論に基づく、「植物生体電位観測」がそれだ。
地球内部にはそもそも、地磁気の変動などを原因とする「地電流」が流れている。地震発生時にはこの地電流が変化するのだという。
「地電流は地震発生時に変化し、それを植物の根が感知して、自分で発電するのです。キンモクセイやねむの木など、植物の枝や幹に銀の電極を埋め込み、そのわずかな電位差を計測することで地震予知につなげようという研究です」(斉藤さん)
3.11の震災のときも、全国に9地点ある観測点のうち千葉県八街市などで地電流を観測したという。
「まだ地震発生後の分析でしかありませんが、研究を続ければ予知につながると思います」(斉藤さん)
※女性セブン2012年2月23日号