改革派の元キャリア官僚、敏腕コンサルタント、気鋭の大学教授……橋下徹・大阪市政は多くのブレーンを抱え、それが改革推進の大きな原動力となっている。その強さの秘密を、39歳で佐賀市長に当選した経験を持ち、行政改革の専門家として「チーム橋下」のメンバーをよく知る木下敏之氏が分析する。
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橋下徹市長の就任後、大阪市は新たに11人を特別顧問に委嘱した(1月末時点)。
作家の堺屋太一氏、元経産官僚の古賀茂明氏、元杉並区長の山田宏氏など、橋下改革をサポートする豪華な顔ぶれとなっている。
自治体の改革は、首長一人の力では成し遂げられない。職員の中から改革派の人間を登用すると同時に、“ムラ社会”の考え方に染まっていないブレーンを外部から連れてくることが重要となる。
とはいえ、役所が払える日当はせいぜい1万~2万円程度。著名コンサルタントや企業家にとっては、本業の収入の10分の1以下だろう。ボランティア感覚で引き受けてくれる人間は決して多くない。
それでも、橋下氏は府知事時代から優れたブレーンを集め、その数を増やしてきた。
なぜか。
理由は単純である。橋下氏が、ブレーンの立案した改革案をすぐ実行に移すからだ。
自分が手助けを依頼した人の提案なのだから、実行するのが当然では……と思うかもしれないが、行政改革の現場では逆のケースが非常に多い。
例えば私は以前、ある市長に頼まれて経験豊富な行政改革のアドバイザーを紹介したことがある。市の行革委員に就任したその人物に1年後に会うと、「辞めるつもりだ」と明かされた。市長にアイデアを出しても、市役所幹部の反対や議会の強硬姿勢を理由に、一向に実行しないのだという。改革の「ポーズ」だけ見せたい首長は意外なほどに多い。
逆に言えば、次々と改革を打ち出す橋下氏の手法は、ブレーンの士気を上げる。有能なブレーンがさらに集まってくるという循環が生まれるわけだ。
※SAPIO2012年2月22日号