株価低迷の今こそ、輝きを増す銘柄がある。株主になるだけで配当とは別に様々なサービスが受けられる「株主優待銘柄」だ。
2月末、3月末は、株主優待銘柄のメリットを享受できる「権利確定日」が集中。直前のこのタイミングは絶好の仕込み時である。
今年は例年以上に優待銘柄に旨味がある。昨年、日経平均株価は東日本大震災や欧州財政危機の影響で年間17%も下落した。業績悪化で配当を減らす企業も多い。しかし個々の優待銘柄のサービス内容はほとんど縮小されていない。つまり例年よりも安値で同様のサービスが受けられるのだ。
いまや株主優待は「配当の一部」と考えるべきだ。優待内容を踏まえれば、株価や配当利回りを度外視しても得となるケースは少なくない。
例えばベビー・子供服の製造卸のキムラタン。
配当は「0円」だが、株主優待では同社商品が年間5000円分購入できる商品券が貰える。同社の優待獲得のための最低投資額は6000円(2月7日終値で計算)のため、実に83.3%の利回りになる。幼児のいる家庭にとっては、非常に有効な投資となる。これは若干極端なケースだが、優待を加えれば実質的な配当利回りは大幅にアップするのである。
マーケットアナリストで株式会社「カブ知恵」代表の藤井英敏氏がいう。
「株主優待銘柄の場合、たとえ株価が下がっても優待分の収益で相殺できる。株主優待を実施している企業の昨年の平均騰落率はマイナス0.8%。つまり優待の利回りが1%あればトータルではプラスと考えることができるのです。
加えて、充実した優待がある企業は、投資家から“株主への利益還元に積極的”と判断されることが多い。安心できる投資対象として、長期的に見れば株価は値上がりが期待できます。優待銘柄は小売りや外食など内需企業が多く、円高の影響も受けにくい。だから今、『株は優待で選ぶ』という時代になっているのです」
※週刊ポスト2012年2月24日号