新チームDeNAの監督に就任した中畑清氏が連日スポーツ紙の1面を飾っている。現場に「中畑で記事を」と命じるスポーツ紙の幹部らは、“中畑なら頼めば大体のことはやってくれるので絵になり、取り上げやすい”ことを経験上知っている。別のスポーツ紙デスクは、「原(辰徳・巨人監督)にはできないが、中畑には紙面を盛り上げるパフォーマンスができる」と満足そうに語る。
「どこか長嶋茂雄さんを彷彿とさせるところがある。中畑監督はキャンプ序盤、選手を挑発し、いいプレーをするとファンに拍手を要求した。こうしたファンと監督・選手の一体感の演出は、かつては長嶋氏の得意技でした。
初日に行なったノックで、選手に対し、“敬語を使わなくていい”といったのも同じ。現役時代の巨人キャンプで、“このヘナチョコノックが!”と中畑が噛みつき、長嶋監督が“何を!”と応酬する光景が、当時の紙面を大いに盛り上げたことを知っているからです。だからこそ我々も大きく扱った」
だが、現場の記者たちはすでに音を上げつつある。
「キャンプ初日からノックを始めた時には、“この後1か月、どうやって(記事を)作るんだよ”と焦りました。ノックはキャンプの華だし、できれば最後の手段として取っておいてほしかった。最高のタイミングでインフルエンザに感染してくれたのでホッとしました」(記者の一人)
その後、皆で知恵をひねり、「インフルエンザ療養中でもホテルから顔を出す」といった要求が生まれた。中畑監督は快く応じてくれたが、“ネタ枯れ”の危機は常につきまとっている。肝心のチームにネタがなさすぎるのだ。
「補強はまったくできていない。主砲の村田の穴を埋めるのがラミレスでは心許ないし、追加補強をしようにも、ドラフトで高校生を取りすぎて、支配下登録選手の空き枠があと1つしかない。
それに横浜スタジアムの使用問題をはじめ、解決していない問題が山ほどある。シーズンが始まれば初勝利で1面を飾れるかもしれないが、次は連敗記録の時だった、なんてことになりかねません」(ベテランスポーツジャーナリスト)
2か月後も「絶好調!」といっていられるかどうかは、すべては監督のパフォーマンス……ではなく、手腕にかかっている。
※週刊ポスト2012年2月24日号