東日本大震災で千葉県浦安市に大きな被害をもたらした液状化。そもそも液状化とは、水分を含む砂質の地盤が地震で揺れ、水と砂が分離して地盤が液体状になることをいう。
浦安市では戸建て住宅に比べ、マンションのほうが液状化の被害が少なかったという。その理由は、建物を安定させるため、基礎の杭が液状化しやすい砂質の地盤を貫通し、硬い地層にまで深く打ち込まれていたからだ。
戸建ての場合、基礎はマンションより浅い砂質の地盤につくられている。戸建ての液状化被害の大小を左右するのは、何より対策の差であると、早稲田大学理工学部の濱田政則教授はいう。
「液状化の被害は地盤の状態で大きく異なります。今回の地震の特徴は、事前の地盤対策により被害に大きな差が出たことです。UR(都市住宅機構)の低層住宅が集まる区画では液状化被害はほとんどありませんでした。これは地震の際に液状化が発生することを想定して、建設時に『サンドコンパクション』という地盤強化法を施していたからでしょう」(濱田教授)
『サンドコンパクション』とは、地盤に砂の杭を打ち込み、それを圧縮して締め固める方法。地下10~15mに硬い砂の杭を何本も埋め込むことで周囲の土も締まっていき、地盤が強化される。
2月2日に、浦安市入船地区にある分譲集合住宅「パークシティ・タウンハウスIII」の住民が液状化対策を怠ったとして、分譲販売した三井不動産と関連会社を提訴した。そのタウンハウスIIIから道路1本隔てただけのURでは液状化の被害がほとんどなかったのだ。
「一方、タウンハウスIIIはこのサンドコンパクションを行っていませんでした。URの低層住宅はタウンハウスIIIとほぼ同じ地区にあり、竣工年も同じなので、両者の被害を分けたのは施工前の地盤強化対策の差と考えられます」(濱田教授)
※女性セブン2012年3月1日号