圧倒的に女性に多い、肩こりの悩み。周囲を見回してみても、肩こりじゃない女性を見つけるのは難しいのではないだろうか。それにしても、なぜ女性に肩こりが多いのだろう?
東京・調布で“肩こり専門外来”を開設する『平沼整形外科クリニック』の平沼尚和院長は、その理由を次のように話す。
「首から肩にかけての筋肉は、常に6kgほどの頭と腕を支えていますが、女性は男性に比べてこの筋肉が弱いため、疲労しやすいんです」
筋肉が弱いうえに、姿勢が崩れている人も多いという。
「人間の背骨は正面から見ると直線、横から見るとS字カーブをもっています。姿勢が悪くなるとそのバランスが崩れるため筋肉に負担がかかり、緊張状態をつくってしまう。これが肩こりのいちばんの要因です」(平沼院長)
前かがみの姿勢でPCを操作するデスクワーク、子供を抱っこしたり、買い物した食料品など重い荷物を持つ家事でも姿勢は崩れるという。その結果、増えているのが“ストレートネック”だ。
スポーツ選手や芸能人にその施術への信奉者が多く、直接治療を受けるのは “7年待ち”という、「さかいクリニックグループ」の酒井慎太郎院長は次のように解説する。
「首の骨(頸椎)は本来ゆるやかに弯曲していますが、前かがみの姿勢を長時間続けていると頭の重さが首に負担を与え、緊張した首の筋肉に頸椎が引っ張られる。このため、頸椎がまっすぐ=ストレートになってしまうのです。
頸椎がまっすぐになると頭の重さがダイレクトに首にかかってきます。すると、頸椎をサポートしている首まわりの筋肉に負担がかかり、緊張状態になる。その緊張が肩にも伝わり血行が悪くなる。ストレートネックが肩こりの原因になるのはそのためです。治療法として首の関節の可動域を広げる『関節包内矯正』がありますが、エクササイズでも改善できます」(酒井院長)
さらに、肩こりの原因として最近増えているのが“胸郭出口症候群”。前出の平沼院長はいう。
「なで肩で首が長い人に多いのがこれ。鎖骨と肋骨の間には首から腕にのびる大事な神経が通っているのですが、なで肩の人は鎖骨が下がっているためこの部分が狭くなる。そのために神経が圧迫され、その圧迫が首から肩にかけて負担をかけるため肩がこりやすくなります」
治療は、鎖骨と肩甲骨を持ち上げる矯正バンドを使って“姿勢矯正”をするのが一般的。
※女性セブン2012年3月1日号