暴力団排除条例の施行や暴力団対策法の改正など、暴力団を取り巻く環境が著しく変化している。そんな中、40年以上にわたり暴力団を取材し続けてきたジャーナリスト・溝口敦氏は新刊『抗争』(小学館101新書)で組員の量刑の重さについて、こう記している。
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裁判でも一般人の犯罪に対するより、暴力団組員への量刑が重い。裁判官は組員の量刑を重くすることで見せしめにし、以後の抗争発生を事前に抑えたい。東京・西麻布での住吉会系幹部射殺事件では、敵の幹部一人を殺した二人の組員に対して、平然と懲役三十年と無期を宣告している。
戦前の裁判官は考えが逆だった。どうせ街のごろつきがごろつきを殺したのだ、結局はごろつきの数が減って結構なことじゃないかと思ったのか、組員一人の殺しに対して数年間の懲役が科される程度だった。
どっちもどっちだが、どちらにしろ「法の下での平等」は日本では絵空事である。
※溝口敦/著『抗争』より