現在、最も要介護者が多い年代は80代。つまり親や配偶者が70代なら、すでに介護の準備が必要になってくるということ。介護疲れを苦にした心中や殺人事件が珍しくもない昨今、少しでも“ラクする介護”は、介護をするほうもされるほうも救います。
フリーアナウンサーの生島ヒロシさん(61)が、認知症を患う義母(当時70代)の在宅介護に直面したのは40代後半。仕事は独立直後で、子供は反抗期の真っ最中と、公私ともに困難な時期が重なった。
「義母の介護は8年間続きました。家族で役割分担をしたとはいえ、家庭崩壊の危機に瀕したこともあったくらい、本当に大変でした」
まず、妻がひとりで抱え込まないために、家族で役割分担について話し会った。中心になって介護ができる人は誰なのか。生島さんは「仕事が忙しい」と逃げず、自分の役割を探した。
義母は当初“要介護1”だったので、公的介護保険で受けられるサービスは、デイサービスに週2回ほど通えるだけ。妻は家事、義父は仕事があるので、家族が24時間付きっきりで面倒をみるわけもいかない。そこで、民間業者のホームヘルプサービスを依頼し、1日2人のヘルパーを交代で派遣してもらうことにした。
「担当者が交代しても義母の体調が一目でわかるように連絡ノートを作りました。例えばその日の朝の体温は何度で、昨晩は何を食べたのか、母の様子を詳細に記録してもらい、家族もノートを見ながらどんな具合なのかいつも気にかけていました」
ヘルパーには家族が望む介護を、腹を割って話したという。ただ、介護は先が読めないので、完璧さを求めると途中で介護する側が倒れてしまう。家族もヘルパーに対しても、あまり完璧さを求めないよう心がけた。
「介護の現場でのおすすめは音楽を流すこと。音量を低めに流しておくと、仕事がはかどり、コミュニケーションツールとして役に立つ場合もあります。時間があれば本を読んであげるのもいいですね。金子みすゞさんや相田みつをさんの詩を読み聞かせるとこちらの心が落ち着いて、それが母にも伝わるのか穏やかでした」
※女性セブン2012年3月1日号