中国の胡錦濤国家主席が3月末から4月15日の間に北朝鮮を訪問する可能性が出てきた。
この理由として、北京の外交筋は昨年12月17日に死亡した北朝鮮の金正日総書記の100日間の追悼期間が3月末に終わることや、4月15日が金総書記の誕生日であることを挙げている。
実は、胡主席は3月26、27日に韓国で開催される核安全保障サミットに出席する予定で、韓国だけでなく、北朝鮮も訪問することで外交的バランスをとることができるというものだ。
胡主席が最後に北朝鮮を訪問したのは6年半前の2005年10月で、その後、金総書記は4回も訪中しているのにもかかわらず、胡主席の答礼の訪朝はないことから、胡主席がいつ訪朝してもおかしくはないといわれていた。中国国内の政治日程的にも、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が3月中旬に終了、3月下旬から4月中旬にかけての外遊には支障がないことが挙げられる。
中国では今年秋に中国共産党の第18回党大会が開催され、胡主席は党総書記の座を習近平国家副主席に譲ることが確実視されており、胡氏が中国トップとして北朝鮮を訪問するには、もう時間が限られているという客観的な事情がある。
また、北朝鮮メディアは新指導者、金正恩氏が金総書記の死を悼む弔電へのお礼の電報をロシアやキューバ、モンゴルなどには送ったと報じたが、最大の支援国である中国への返電については報じておらず、両国関係がぎくしゃくしているのではないかとの憶測が飛び交っていることも訪朝の背景にある。
訪朝が実現すれば、各国トップの中で、胡氏が初めて金正恩氏と首脳会談をすることになるだけに大きな注目が集まりそうだ。