このところ、週明けのFX(外国為替証拠金取引)投資家たちの話題は「ユーロ」である。月曜日未明に決まってユーロが急落し、それを狙って稼ぐ投資家が日に日に増えているからだ。
例えば2月6日と1月23日のユーロ円相場は、それぞれ前週の終値より約30銭のユーロ安でスタートしている。各週末に「ギリシャ連立与党の党首会談が難航」、「ギリシャ債務減免比率引き上げ」など、市場に影響を及ぼす悪いニュースがあったからだ。
為替アナリストがいう。
「EUやヨーロッパ諸国は、市場を混乱させないようにするために、マイナス要因となりそうな公式発表を、世界の為替取引市場が閉場している週末に回すことが多いのです」
日本時間の土曜日早朝から月曜日早朝までは、世界の為替取引市場が閉場しているため、為替レートに変化はない。その分、前週の終値と月曜日の始値に差ができることが多くなる。具体的には、週末に一番遅くまで取引されるニューヨーク市場の終値と、週明けに世界で一番早く取引が始まるオセアニア市場、そして日本市場での始値にギャップが出る。そうしたチャートの段差を投資用語で「窓」と呼ぶ。「○円×銭と○円△銭の間に窓が開いた」などと使う。
「この開いた窓は、その後、取引の主体がオセアニア市場から世界3大市場の一つである東京市場に移っていく中で、少しずつ埋まっていくことが多い。いわゆる『窓埋め』の動きで、相場の定石でもあります。つまり予測しやすく、当たる確率が高い。そこを狙ってトレードして儲けている投資家がいます」(前出・為替アナリスト)
月曜日ごとに早起きして実践しているデイトレーダーが証言する。
「月曜日早朝の取引開始直後に、先週のレートより下がって始まったら買いでエントリーし、上がって始まったら売りでエントリー。後は窓が埋まるまで待って反対売買して利益を確定します。1日の儲けはそれほど多くありませんが、コツコツと確実に利益を確保できています」
窓埋めはよく知られた投資法だが、この月曜未明の為替相場には、そのメリットを最大限利用する方法がある。「月曜日午前3時」から取引が可能なFX会社を使うことである。
外国為替市場は、株式市場と異なり開始・終了時間がハッキリしていないが、シドニー、ウェリントンなどのオセアニア市場は早ければ月曜3時頃から動き始める。
一方、FX会社といえば毎日24時間取引可能が常識だが、月曜の朝だけは業者によって開始時間が違う。大半の業者は午前7時スタートなので、その時点ではすでに窓をかなり埋めていることも少なくない。
が、心配は無用。国内にも、オセアニア市場に対応して午前3時から取引可能なFX会社がある。「kakakuFX」や「サクソバンクFX証券」である。
1円を超えるような大きな窓が開くことはほとんどないとはいえ、30~50銭程度の窓が開くケースは多い。それでも小遣いには十分な額を儲けることが可能だ。
例えば、200万円の投資金に5倍のレバレッジを掛け、1ユーロ=100円で10万ユーロ買った場合で試算してみよう。その後、100円30銭になった時に利益を確定したとすると、3万円の儲けが出ることになる。これを月曜日ごとに繰り返すことができれば、1か月で12万円の小遣いが捻出できるのだ。
※週刊ポスト2012年3月2日号