55歳の大平シローが難治性心室細動で、46歳の田子ノ浦親方が虚血性心不全で急死したように、40~50代の働きざかり世代が突然死するケースは少なくない。この世代は遺言書を用意していないことがほとんどのため、急死してしまった場合、残された妻や子どもに負担をかける場合が多い。明日あなたが突然死したら、あなたの財産はどうなってしまうのか。
もし、あなたが死んでしまったら、残した妻子にどれだけの資産を残してやれるのか。「縁起でもない」と怒る前に、ファイナンシャルプランナーの豊田眞弓氏の警告を聞こう。
「病気、事故、天災……現代ほど死が身近な時代はありません。あなたが亡くなることで、奥様をはじめ遺族の受ける精神的ショックは計りしれません。同時に役所や税務署、金融機関、保険会社などを相手にする膨大かつ煩雑な手続きが待ち受けているのです。生前から、その対策をきちんと伝えるのが夫の愛情です」
あなたが死ぬと、遺族は相続財産の洗い出しと財産目録の作成を行ない、相続人の間で遺産分割協議に入る。
協議がまとまれば「遺産分割協議書」を作成、相続者全員が捺印する。
豊田氏は銀行口座の注意点をあげた。
「口座が凍結されてしまうと、医療費や葬式代など急場で多額の支払いに苦慮することもあります。生前から銀行口座を分けておくなり、入院中なら妻の口座に医療費分だけでも移しておくほうがいいでしょう」
ただし、生前に妻の口座へ振り分けた金は、あなたの死後、相続財産とみなされ課税対象になることを忘れてはいけない。
また、死後も存在が発見されず放ったらかしになる預金口座は「休眠口座」となる可能性がある。10年間出し入れがない口座の預金は銀行の収益として計上されてしまう。あなたがインターネット銀行に貯蓄していたら、書類も残っておらず、家族が知らないまま休眠預金になってしまう可能性は高い。
※週刊ポスト2012年3月2日号