「絶対勝ちたいと思った」
2月11日、広島で開かれたアマチュアボクシングの全日本女子選手権ミドル級で、南海キャンディーズの山崎静代(33)が優勝した。同時に、ロンドン五輪代表選考会を兼ねた世界選手権の日本代表にも選ばれた。
リングを降りて、喜びをぶちまけるしずちゃんの目線の先には、2008年から共に闘ってきた専属トレーナーの梅津正彦さん(43)の姿があった。
「昨年の秋くらいから、梅津さんはずっと体調が悪かったんです。それで今年になって病院に行ったら、メラノーマという皮膚がんだと診断された。放っておいたら“余命1年”との宣告だったそうですよ」(スポーツ紙記者)
前述の大会は、五輪出場を目指すしずちゃんにとって極めて重要な試合だったが、梅津さんががん宣告をされたのはその直前のことだった。だが彼は、最後までしずちゃんの雄姿を近くで見守っていたいとの思いから手術の延期を決意した。
「彼自身、早くに父親を亡くしているし、結婚したばかりの奥さんとの間には幼い息子さんもいる。早急に手術すべきだったんですが、これまで苦楽をともにしてきたしずちゃんの試合を途中で放り投げることはできなかったんです」(ボクシング関係者)
優勝から2日後の2月13日、しずちゃんはいつもの焼き鳥店にいた。ウーロン茶を飲みながら、店主のおまかせで生野菜やねぎまにトマト巻などを食べていた。
店から出て来たしずちゃんに梅津さんのことを聞くと、少し照れて、本当にいろいろと教えてもらって、本当に尊敬して、信頼しているかたです」
と答えてくれた。そして翌日のバレンタインデーにはちゃんとチョコも買ってあるといいながらも、彼の病気のことについては話せないと答えた。
※女性セブン2012年3月1日号