日本には7000人のフードアナリストがいる。食材、食品の味覚はもとより歴史や文化、食にまつわる法律・経営、さらにはレストランのサービスまで、あらゆる角度から食について学び、分析・評価する知識と教養を身につけた「食の専門家」たち。資格の取得は4級からで、最上級資格である1級では、高いレベルのテイスティング能力が要求される。
有資格者は、企業の商品開発やフードライター、飲食店の開業プロデュースなど、食にかかわるさまざまな分野で活躍。昨今は、2007年に日本に上陸した『ミシュランガイド』の人気に見られるように、食品やレストランの客観的評価が求められていることから、食材やレストランなどを中立・公正な立場から、「格付け」評価する重要度が増しているという。
1月19日に開催されたダイエット食品の試飲会もそうした活動の一つで、フードアナリストら100名が評価のウェイトを「味」に置き、おいしいダイエット食品の比較調査を行った。
試飲会で対象となったのは、「ダイエットシェイク」に代表される置き換え式ダイエット食品である。店頭販売、通信販売で人気の高い、ストロベリー味とココア味2つの部門で比較を実施。調査方法は、フードアナリストらが商品名を伏せて試飲し、1.美味しさ 2.香りの良さ 3.味の再現性 (ストロベリー味・ココア味)4.舌触りの良さ5.違和感はないか? 6.のど越しのよさ 7.後味のよさ 8.甘さ 9.ダイエット食品として続けられるかどうか 10.総合評価ランキング と、合計10の基準で評価するというもの。その結果、ストロベリー味47%とココア味46%で両部門とも、サニーヘルスのマイクロダイエットがトップを獲得。半数近くの人が、マイクロダイエットを総合評価で1位に挙げる結果となった。
「かなり差がありました」と語るのは、審査に参加した40代のフードアナリスト。「でき損ないのくずきりみたいなものから、味に柔らかみがあるものまで、ピンからキリまでだった」など、辛口の意見も多く聞かれた。
ゲスト審査員として参加した「nifty@ダイエット」の宮代伸介編集長は、自身もダイエットの経験があり、現在でも体型維持を心がけているということで、審査の感想と共にダイエットのコツと評価ポイントについて教えてくれた。
「事前の予想ではあまり味に期待はしていなかったんですが、想像以上に美味しいものもありました。これなら継続的なダイエットにも使えるし、無駄なカロリーを摂取しないために、間食の代わりに飲んだり、あるいは時間がないときに朝食代わりに……なんてことも良いと思います。
ダイエット中は、糖分を摂ってはいけないということに縛られがち。当然、糖分は控えるのですが、そうなると甘いモノが欲しくなってくる。そこで、ダイエット食品(置き換え食品)にしっかりとした甘さがあれば、甘いものに対する欲求を満たすことができるので、甘さはとても重要です。
ダイエット食品は基本的に大豆を原料にしたものが多いのですが、いかに大豆っぽさを抑えるかという点が重要な評価基準になったように感じますね」
また今回の取り組みの総括を兼ねて、フードアナリスト協会事務局長の水口昌司氏はこう語る。
「何も考えないで食事をするよりも、成分面でしっかり研究しているダイエット食品を計画的に摂るほうが、健康的であったり、効果的にやせられるという面もあると思います。
もちろん、ダイエット食品も美味しくあるべきだとは思いますが、だからといって完全に普通の食品といっしょになってしまうようなものでもない。ダイエット食品について、どういう成分が入っているのか、どういう効果があるのか、どういう味なのか、そして安全性などの情報が、あまり消費者に届いていないような気がします。
特に、ダイエットを続けるためには『味』というものがとても重要。今回の試飲会のような形で、ダイエット食品の『味』にスポットを当てることで、食生活をより豊かに考える提案ができるようになっていくのではないでしょうか」