川崎宗則(30)がシアトル・マリナーズのキャンプ地に姿を見せると、居合わせたメディアからは失笑が漏れた。憧れのイチロー(38)を真似たとしか思えない「無精ヒゲ」をたくわえていたからだ。
「やっぱり生やしてきたか、という感じです(苦笑)。『マイナー契約でもいいからイチローさんのそばにいたい』なんていっていたほど。“恋人”に少しでも近づきたいという気持ちの表われでしょう」(スポーツ紙記者)
背番号は慣れ親しんだ「52」ではなく「61」になった。52は「イチロー(51)の一つ後」で、相当なこだわりをもっていたはずだが、なぜか61でも満足。その理由は本人曰く、「逆から読んだらイチ(1)ロー(6)さん」だから。
WBCを機に、熱狂的な「イチロー信奉者」となった川崎。渡米中にイチロー邸に招待され、弓子夫人の手料理を振る舞われてからというもの、イチロー一筋の気持ちはますます加速していった。
ユニフォームの着こなしはストッキングをたくし上げるオールドスタイルに変え、オフになれば、神戸で自主トレをするイチローのもとに福岡から飛んでいく。
極めつきは、川崎が移動時に使うショルダーバッグだ。イチローの出身高「愛工大名電」をもじって、「愛工大名店」と刺繍された特注バッグを使用。配色も名電高のスクールカラーそのままだ。ここまでくると、ファンからは「尊敬しているというより、もはやストーカーに近い」と気味悪がる声が出ている。
ただしこの熱意、受け入れるマ軍のチームメートはどうも理解しがたいようだ。日本人メディアから川崎に関して聞かれたマ軍のウエッジ監督は、
「彼はシアトルや僕とプレーしたいというより、イチローとプレーしたいだけだろう」
と、複雑そうな表情でコメントした。
※週刊ポスト2012年3月2日号