欧米社会では、エリートやトップには理系(理系学部卒)が多いといい、最近では、日本でも理系が多くなっているという。とはいうものの、「学生の理系離れ」などと言われる昨今、理系と文系を選択するときの大きな分かれ目に「数学」がある。実際、「人生に数学は必要ない!算数レベルで十分!」という文系選択者は多い。
「結局重要なのは地頭」という説を唱える人材コンサルタント・常見陽平氏は、「中学・高校生時代に、数学のセンスを磨いた人は、仕事にも強い」と分析する。数学のセンスを磨くとは、問題が解けるというだけでなく、いかにしてよりスマートにエレガントに解くかを磨くということだが、どうすればセンスを磨くことができるのか?
センスある解法を追い求める向きには、参考書では知る人ぞ知る「解法の探求」(東京出版)、「エレガントな入試問題解法集」(現代数学社、石谷茂・著)などがある。あまりに高度すぎるという声もあるが、数学好きに愛され続ける参考書である。
そんななか、ベネッセコーポレーションも東大志望者にターゲットをしぼった通信講座「進研ゼミ 東大特講√T」を開講中だ。同講座では、東京大学の入試当日の2月26日 20:30から、その日行われたばかりの東大数学問題を“美しく”解く解説映像講義をおこなう。
解答にたどり着くまでの過程が煩雑になればなるほど、ケアレスミスを誘発する。さらには途中で力尽きてしまい、問題を解決できないまま終わる(「だらしない解法」)――。ならば、その過程はシンプルに越したことはない。すっきりと整理した道筋で、解答にたどり着くのが「美しい解法」だ。
東大合格のためには「美しい解法」をする力が有効とする同社では、「美しい解法」と「だらしない解法」、2つの解法についてどこが違うのかを並べて比較したポスターを用意。“わかる人にはわかる”内容で、東大合格者数ランキングで常に上位にランクインする難関高校の最寄り駅に貼り出し、難関高校の受験生を刺激する。
前出ポスターが最寄り駅に掲載されている、私立麻布高校出身の東京大学卒業生は、“美しい”解法について「(最初は)なかなか気がつかないような発想であることが多い」という経験を語る。そして、「何故こういう発想が浮かんでくるのか? を考えることにより、最短距離で答えにたどり着く直感力や論理的思考力を鍛えることができる」という。
「(数学とは直接無関係の)力技だけでは解けない問題にぶつかったときに、そのとき鍛えた発想力や論理的思考力が応用できることが、あるかもしれない」(前出・麻布高校出身者)