婚活サイトで知り合った男性から総額1億円以上をだまし取った詐欺事件で現在公判中の木嶋佳苗被告(37才)。彼女に貢がせた男性たちは次々と不審死を遂げており、亡くなった6人のうち3人については殺人罪などで起訴されている。
決して美人とはいえない木嶋被告だが、どうして何人もの男性が惹きつけられたのだろうか。木嶋被告の公判を20回傍聴しているコラムニスト・北原みのりさんはこういう。
「法廷での証言を聞いていると、騙された男性たちは、コミュニケーション力が乏しかったようです。そして木嶋被告が凄いのが初めから堂々と“お金をください”といっていること。
“私と会うということは、あなたにとってどんなに素晴らしいことですか”“あなたがお金を出せないということは、私に働けということ。すると忙しくなるからデートできなくなるんですよ。それでもいいんですか?”といういい方をしているんです。そういわれると、男性は不安になって逃がしちゃいけないと思ってしまうんでしょうね」
女性セブンの取材に応えてくれた、逮捕直前まで同棲していたという男性もそうだった。結婚サイトで知り合い、何度かやりとりするうちに携帯電話の番号を交換するようになり、結婚を前提に交際をスタート。そして「あなたを信用してマンションの住所を教えます」と甘い言葉を囁かれ、彼女のマンションで初めて会うと、その日のうちに借金の相談をもちかけられた。
それは木嶋被告が経営するお菓子教室が立ち行かなくなり、マンションも出なければいけない状況だという話で、彼女は自分からは金額をいわず、いくらなのかを相手に聞かせるように仕向けたのだった。そして借金の額は240万円だと告げられたという。
そうした木嶋被告の態度に、男性は「自分だけを信頼し、すべてを正直に話してくれている」と思いこんでしまったようだ。客観的にみれば、あまりにも怪しすぎる展開。だが男性は、このときまた別の思いを抱いていた。
「私は独身が長かったし、看病を続けてきた母が1か月ほど前に亡くなったばかりで、寂しい思いが強かった。それで、彼女との将来を楽しみにしていた面がありました」
そうしてこうも続けた。
「いまは全部嘘だとわかっています。ただ、一緒にいた5日間は自分にとって幸せな5日間でした」
※女性セブン2012年3月8日号