東日本大震災では、福島県で年間一般廃棄物の6年分に相当する438万トン、岩手県で同11年分に相当する476万トン、宮城県では最も多い同19年分の1569万トンのがれきが発生した。
環境省は、このうち放射能の汚染レベルが高いと考えられる福島県だけは県内での処理を決定。ほかの2県分のがれきに関しては、昨年4月に全国の自治体に協力を打診し、一旦は42都道府県の572市町村から受け入れ合意をとりつけた。
ところが、6月下旬、受け入れムードが一変する。東京都江戸川区や千葉県柏市などの焼却施設で、ごみの焼却灰から高濃度のセシウムが相次ぎ検出されたのだ。東京や千葉のごみが放射能に汚染されているなら、宮城や岩手のがれきも同じか、それ以上のレベルで汚染されているかもしれない――という認識が広まった。
特にセシウムがほとんど検出されていなかった西日本に与えた衝撃は大きく、大阪以外は受け入れ“全滅”状態となった。
実際、全国各地の人たちはどう考えているのだろうか。本誌は全国の20代から70代の女性300人に緊急アンケート調査を行った。
その結果、「震災がれきの受け入れに賛成ですか?」という問いに、現時点で「賛成」と答えた割合はわずか28%に留まった。放射能汚染に対する根強い不安感があることがうかがえる。
その一方で、明確に「反対」と答えた割合も18%と少なかった。
多くは「現時点では反対」としつつも「条件を満たせば賛成」とする層で54%にも上った。その条件は、「適切な放射能除染」への要望が80.9%と強く、「東京電力による処理費の負担」も66.7%が望んでいる。
また、アンケート結果からはある「誤解」も浮かび上がった。
前述の通り、各市町村が受け入れる震災がれきに、福島県内のがれきは含まれない。しかし回答者のうち、その事実を知っていたのはわずか13.7%で、9割近い人は誤解していた。
震災がれきの受け入れは岩手・宮城からに限るという条件を解説した後、もう一度アンケートをとると、受け入れ賛成派は28.0→42.3%と飛躍的にアップした。
住民への受け入れを問う前に、そもそもがれきの受け入れ内容についての周知を徹底する必要があるだろう。
※女性セブン2012年3月8日号