インフルエンザの猛威が止まらない。国立感染症研究所の発表によれば、2月6~12日に医療機関を受診した患者は全国で約201万人。
それを防ぐ上で注目されているのが居室内の湿度。空気が乾燥するとのどの粘膜の防御機能が低下してウイルスに感染しやすくなるため、「湿度50~60%を保つ」のが鉄則だ。
この考えをさらに進めた“絶対湿度”を提唱しているのが、庄司内科小児科医院(宮城・仙台)院長の庄司真さん。
「通常の湿度計で測れる湿度は、その空気の温度での飽和水蒸気量(それ以上空気に溶かすことができない水分量)を100とした場合、水分が含まれている割合を表す“相対湿度(%)”。対して空気の体積1立方メートルあたりの水蒸気量を表すのが“絶対湿度(g/立方メートル)”です。たとえば、相対湿度が50%でも、気温が変われば空気中に含まれる水蒸気量は異なってきます。私の提唱する“絶対湿度”の考え方は、水蒸気とインフルエンザの流行との関係から、流行が始まる水蒸気量11g/立方メートル以下になったら対策をとってほしいというものです」(庄司さん)
咳などで空気中にインフルエンザウイルスが放出されたとき、6時間後に絶対湿度5g/立方メートルでは約50%のウイルスが生き残る。7g/立方メートルでは約20%、11g/立方メートルでは約5%と減少していく、という論文がある。それを受け、14シーズンにわたって日本各地(沖縄を除く)の気象とインフルエンザの関係を調査したのが前出の庄司さんだ。
「調べると、1立方メートルの空間に含まれる水蒸気の量=絶対湿度が“11g/立方メートル”以下になったとき、インフルエンザが流行し始めるという結果が出ました。したがって、家庭内でも絶対湿度“11g/立方メートル”の環境を作れば、感染のリスクを少なくすることができることになります」(庄司さん)
※女性セブン2012年3月8日号