東日本大震災から1年が経とうとしているが、民主党政権が進める復興は停滞している。一体何が問題なのか。震災直後から復興ビジョンを提言してきた大前研一氏が、民主党政権の何が問題なのかを指摘する。
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「3.11」から1年が過ぎようとしている。だが、被災地の復興は遅々として進んでいない。瓦礫は片付けたが、受け入れ先の問題が決着していないため、瓦礫の山と山の間に更地が生まれているだけで、復興の槌音は一向に聞こえてこないのである。阪神・淡路大震災の時は1年でかなり復興が進んでいたのに、なぜ今回はそんな状況になっているのか? それは、民主党政権にリーダーシップがなく、未だに復興の方向さえ見えていないからだ。
なにしろ復興の司令塔となる「復興庁」が発足したのが2月10日、宮城県と岩手県が「復興特区」に認定されたのが2月9日である。
復興庁は2020年度末まで存続し、宮城県は被災地に進出する企業の法人税を5年間免除する「民間投資促進特区」、岩手県は医師や看護師の配置基準緩和などを柱とする「保健・医療・福祉特区」になったが、3.11から11か月も経ってこの段階では、遅きに失したどころの話ではない。本来、復興庁は首相官邸であり、政府そのものであるべきで、こんな屋上屋を作るのに1年かけて利権を整理している神経が理解できない。
※SAPIO2012年3月14日号