関東甲信越で雪が降った2月29日、キリンビールは、2012年「キリン一番搾り生ビールブランド戦略発表会」を開催。都心でも数センチ積もるなか、こちらはビールの上に雪が積もったかのような――見た目も味もまったく新しい「フローズン<生>」を提案した。
2011年は東日本大震災の影響もあり、ビール市場の伸び率はマイナス4.1%と落ち込んだ。その中でも、「キリン一番搾り」は、マイナス2.1%と、伸び率を最小限に食い止めた。2012年は「フローズン<生>」という新しい飲み方を提案することにより、前年比プラス2%を目指す。発売開始から23年目を迎えたロングセラーブランドが仕掛ける新戦略だ。
金色のビール液の上に、こんもりと盛り上がった、ソフトクリームのような泡。グラスを口に当てるとまず、シャリシャリしたシャーベットのような泡が流れ込み、さらにキンキンに冷えたコクのあるビールを味わえる。
■1杯に22分かける“じっくり飲み”派にも対応
この泡の正体は、「キリン一番搾り」そのもの。生ビールを泡専用のサーバで冷却・撹拌して、ごく微小な氷の泡にしているのだ。一番搾りを注いだグラスにその泡をソフトクリームのように絞り出して乗せれば、「フローズン<生>」が完成する。
「氷の泡は、通常のビールの泡に比べて、ずっと長持ちします。その泡の層が“フタ”となることで、30分間はビールを10度以下に保つことができますし、炭酸も抜けにくくなります。また、泡自体がビールでできているため、泡が溶けてもビールが薄くならず、最後まですっきり、おいしく飲むことができます」(キリンビールマーケティング部・田代美帆さん)
同社の調査によると、居酒屋などでビールを1杯飲みきるのにかかる時間は22分。「とりあえず、生」でゴクゴク、という飲み方から、腰を据えてじっくり飲みたい人が増えているようだ。
「初めて飲んだとき、『ビールが若返った!』と感じました。これまでもさまざまなビールの飲み方は提案してきましたが、見た目からして新しいというのは、これが初めて。
本格コーヒーがスタバなどで手軽に楽しめるようになったり、ウイスキーがハイボールとして流行したりしたように、フローズン<生>も、ビールのまったく新しい飲み方として、楽しんでほしいですね。個人的には、女子会にもおすすめ。このビールなら、ビールをじっくり味わいながら、ゆっくり過ごせますよね」(田代さん)
■泡を壊さず、ビールの通り道を作る
この「フローズン<生>」のよりおいしい飲み方を教わった。
「泡のフタを壊さずに飲むことが、長時間、おいしさと冷たさをキープするコツ。ですから最初は泡だけを口に含み、氷のシャリシャリした食感、冷たく、スムーズな口当たりを楽しんでください。泡をひと口食べていただくと、そこがビールの通り道になります。ふた口目からは、ビール液と泡を一緒に飲むと、キーンと冷たいビールの爽快感やコクを味わえます」(田代さん)
「フローズン<生>」はすでに東京ディズニーシーなどで発売中。3月中には首都圏エリア、5月中旬からは全国の飲食店で販売が始まる。5月には期間限定のコンセプトショップを展開する予定とのことだ。