『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子など、様々な分野の論客が『今週のオピニオン』と題して、毎号書き下ろしの時事批評を寄稿する。3月2日に配信された5号では、櫻井よしこが登場。これから4回にわたって、「櫻井よしこの今週のオピニオン」を全文公開する。
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日本の運命を決する最大の課題は、中国と正しい関係を結べるか否かの一点に尽きる。即ち、中国の脅威に正しく対処出来るか否かである。
中国は全方位で影響力を強め、広げているが、二月上旬に明らかになった北朝鮮への接近はとりわけ巧みである。北朝鮮事情に詳しい人物の情報によると、中国は北朝鮮に百万トンのコメ支援を約束し、二月十日までに届けたという。そして見返りに、北朝鮮の日本海側の最北の港、羅津に新たな埠頭を建設し始め、租借する契約も結んだという。
韓国の聯合ニュースは二月十五日、中国が羅津の四~六号埠頭の建設権と五〇年間の租借権を取得したことに加えて、投資規模は三〇億ドル(二三五六億円)だと報じた。
この記事は、中国が北朝鮮と東北三省(遼寧、吉林、黒龍江)と羅津を擁する羅先地域の共同発展に向けた羅先特区基盤施設建設契約を、金正日総書記死去の前後に結んでいたと報じている。契約は二〇二〇年までに第一段階として羅津港に七万トン規模の四号埠頭、旅客機と貨物機の離着陸が可能な飛行場、吉林省図們と羅先を結ぶ鉄道を建設するという内容だとも報じた。羅津港の五、六号埠頭の建設は第一段階の工事終了後に始める計画だという。
一方、日本の「朝日新聞」は二月十七日、中国は、コメに加えて重油五〇万トンの支援も約束した旨、報じた。
羅津港は一九三〇年代初期に日本が作った港である。そこに中国はすでに〇五年に手を延ばし、同港の埠頭を六〇年間、租借した。租借は普通の賃貸ではない。租借権を得た国は、その土地、港、建物などを主権に基づいて活用出来る。中国は羅津の埠頭で統治権を行使出来るのであり、事実上、羅津港はこれから少なくとも半世紀の間、中国領同様に、中国によって活用されるという意味だ。
〇五年時点で中国は史上初めて日本海への直接アクセスを手に入れたのであり、そのアクセスはさらに強化されつつある。眼前で進行中の事実は日本にとって、このうえなく深刻な脅威であるが、日本政府も私たち国民もこうしたことを明確に認識しているだろうか。
中国のコメ百万トン支援は、金正恩体制の下で北朝鮮がさらに中国側に吸引されつつあることを示している。羅津港で中国が新たに得る三つの埠頭の租借権は、日本海への中国進出が拡大していることを示している。さらにいえば、羅津港を出てすぐ目の前にある佐渡島と新潟の双方に中国がより深く踏み込み、地歩を固めつつあるということだ。
(続く。次回は3月4日日曜日午前7時に公開予定)
※上記の記事全文は現在配信中の『メルマガNEWSポストセブン』5号で読めます。