今年もさまざまな予想が飛び交うなか、授賞式が行われた第84回アカデミー賞。主演男優賞にはジャン・デュジャルダン(39)、主演女優賞にはメリル・ストリープ(62)が選ばれたが、どういう俳優がアカデミー賞に好かれるのか。実は主演男優賞では、渋めの俳優に分がいい傾向がある。
常連は、最多ノミネート12回の記録をもつジャック・ニコルソン(74)を始め、ショーン・ペン(51)、トム・ハンクス(55)など演技派ばかり。一方、演技力では定評のあるジョニー・デップ(48)は無冠だし、ブラッド・ピット(48)、キアヌ・リーブス(47)、トム・クルーズ(49)といった二枚目スターはオスカーをもらっていない。
L.A.在住で、ゴールデン・グローブ賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会会員である小西未来さんは次のように話す。
「いわゆる映画スターは、基本的には演技がうまいとは認められていません。演技がうまい俳優は、たとえばメリル・ストリープ(62)のように自分を消して、キャラクターになりきることのできる俳優。でも、トム・クルーズがなにを演じてもトム・クルーズにしか見えないように、人気スターのほとんどが自分を消し去れていない。また、人気スターが出演する映画は、基本的に娯楽作品であり、質を伴っていないという事情もありますね」
俳優のイメージではなく、作中の役柄はノミネートに関係するのか?
「男優賞や女優賞であれば、障がい者や老け役など、演じるキャラクターと役者本人とのギャップが大きい場合や、実在の人物を演じた場合などが評価されやすい」と、小西さんはいう。
昨年、『英国王のスピーチ』で主演男優賞を受賞したコリン・ファース(51)や、『モンスター』(2003年)で、体重も増やし実在の殺人鬼を演じたシャーリーズ・セロン(36)、『Ray/レイ』(2004年)で歌手レイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックス(44)などがそれだ。
理由は単純で、演技の良し悪しというのはなかなか客観的に判断できるものではないが、有名人やドラッグ患者など、演じることが難しいゆえ、その努力がわかりやすいものに票が集まりやすいという。
※女性セブン2012年3月15日号