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景気がいい仙台 牛タン店長蛇の列も「徒花の繁栄」の指摘

 東日本大震災から1年が経とうとしているが、民主党政権が進める復興は停滞している。一体何が問題なのか。震災直後から復興ビジョンを提言してきた大前研一氏が、問題点を指摘する。

 * * *
 本来、今回のような未曾有の危機を乗り越えるためには、次の3つの仕事をすることが必須だ。第一は、いま危機に陥っている人たちの生活と安全を確保すること、第二は、将来ビジョンを示すこと、そして第三は、第一と第二を結ぶ中間の仕事、つまり第一と第二を実行するための仕掛けと組織と法制度を作ることである。

 これは実は、1か月で決定すべきものだった。時間が経てば経つほど住民の要望が五月雨式に増えて予算が肥大化するからだ。実際、政府が復興構想会議の提言を受けて7月に決定した復興予算は23兆円に膨れ上がってしまった。

 その結果“復興特需”が生まれた。最大の恩恵にあずかったのは仙台だ。いま仙台は「日本一景気が良い街」と言われている。ゼネコンをはじめとする復興関連企業が、みんな前線基地を仙台に置いているからだ。企業は特需が数年間のテンポラリーなものだとわかっているので、新しい事務所は設置せずにホテルの部屋を年間契約で借りているケースが多い。

 このためホテルや旅館は常に満室状態で、飲食店や夜のネオン街も満員御礼だ。私が訪れた時は仙台名物の牛タン店が、どこもかしこも長蛇の列だった。まさに徒花の繁栄である。

※SAPIO2012年3月14日号

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