株式市場では大きく値を下げている企業がいったん反発すると、その後は大きな株価上昇が望めることが往々にしてある。そこで、「出遅れている大型株に注目」というのは、T&Cフィナンシャルリサーチ日本株情報部マネージャーの剣持和正氏だ。
「震災前の株価水準から日経平均が昨年来安値をつけた11月25日までの下落率と現在までの上昇率を業種別に比較すると、大幅下落に追い込まれた海運や証券、鉄鋼などが大きな反発を見せています。つまり、売り込まれた業種が先行して買い戻される動きが顕著になっている。
一方で、下落率が高かった業種のなかでも未だ大きな上昇が見られないのは『ガラス・土石製品』『電気機器』『その他製品』『電気・ガス』の4業種。世界的な金融緩和の流れが株価上昇を後押しすることで、これら出遅れている銘柄の修正も予想されます」
そこで、ガラス・土石製品からは「国内の復興需要に加え、積極展開する中国景気の底堅さが確認できれば見直しの余地がある」(剣持氏)としてTOTO(5332)をピックアップ。
軒並み大幅赤字を見込む電機のなかでは、「パナソニック(6752)が東京本社ビルの売却、移転など資産圧縮による経営効率の向上を目指している点を評価したい」(同)という。その他、電気・ガスからは「原発を保有せず、風力など自然エネルギーの活用を強化する姿勢が再評価される可能性がある」として沖縄電力(9511)を挙げる。
一方、フィスコ株式アナリストの小中優氏は「中小型株」に狙いをつける。
「年末年始の材料株の乱舞によって潤った個人投資家のマネーが中小型株物色の動きを高め、2月27日には東証2部指数が30日連騰で過去最長を更新するなど資金流入が目立っています。そこで、時価総額が300億円以下でPBR(株価純資産倍率)が0.6倍以下という割安な水準に置かれ、かつ配当利回りが3%以上で財務内容も健全な中小型株をスクリーニングすると、次の5銘柄が浮上します」
それが、【1】パチンコやパチスロ台管理や景品顧客管理システムを手掛けるダイコク電機(6430)、【2】スマートフォン関連でタッチパネル用部材のジオマテック(6907)、【3】紳士服チェーンのはるやま商事(7416)、【4】関西圏を中心にマンション販売を行なう日本エスリード(8877)、【5】アルプス電気系の物流会社・アルプス物流(9055)の5つである。
※週刊ポスト2012年3月16日号