東日本大震災から1年を迎えたが復興需要が本格化するのはこれからだ。それは、株式投資でも“復興関連銘柄”の値上がりが期待できることも意味する。
約30年にわたって相場を見続けてきた岡三オンライン証券営業推進部部長でアナリストの稲田弘文氏は、復興関連銘柄を次のように見る。
「大震災以降、一段と防災意識が高まるなか、災害情報配信サービスへの関心は強い。なかでも世界最大の民間気象情報会社であるウェザーニューズ(証券コード:4825)は、次の災害を減らす備えとして『減災ソリューション』をネット上で提供するなど、一歩先を行っているといえます。また、復興に欠かせない建設資材としてセメントが脚光を浴びており、国内トップの太平洋セメント(5233)もまだまだ目が離せません」
ほかにも、海上土木に強みを持つ五洋建設(1893)、道路舗装で国内最大手のNIPPO(1881)などを同氏は挙げるが、復興関連はまだあるという。稲田氏が目を向けるのは、船舶用ディーゼルエンジン最大手のダイハツディーゼル(6023)だ。
「今回の津波では約2万8000隻の漁船が流出・損壊したため、同社への受注は例年の約10倍の生産が必要なほど急増している。加えて、第3次補正予算には自家発電設備導入促進事業として300億円の予算が計上されており、それも追い風となるでしょう」
そして、ようやく本格稼動が期待されるのが「除染」関連である。原発事故の影響は根深く、除染に関する費用は政府の描く1兆円規模では足りないといわれる。
稲田氏が挙げるのがロート製薬(4527)だ。
「同社は目薬のトップメーカーとして有名ですが、汚染土壌に吸着した放射性物質を除去するための技術が『除染技術実証試験事業』のテーマに選定されるなど、ここにきて注目が集まり始めています。直近の株価は950円前後で横ばいが続いているため、今後の反発も期待できるでしょう」
震災関連銘柄に投資することによって復興を後押しできれば一石二鳥である。
※週刊ポスト2012年3月16日号