太陽光発電に期待が集まっている。ソフトバンクの孫正義社長は「仮に全国の休耕田と耕作放棄地(約54万ヘクタール)の2割に太陽光パネルを敷き詰めると、約5000万キロワット、原発50基分を発電することができる」とぶち上げたが、大前研一氏によれば、思わぬ利権が生まれるという。以下は、大前氏の解説だ。
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電力は経済産業省、農地は農林水産省の所管である。農水省は休耕田と耕作放棄地に対する権限を絶対に手放したくないので、太陽光発電に転用する場合は農地としての優遇を認めないか、いつでも農地に戻せるよう、太陽光パネルはすぐ取り外せる状態にしておかねばならないという条件をつけるだろう。
そして、太陽光発電への転用が認められた場合、おそらく多くの農家は企業などに休耕田や耕作放棄地をリースして賃料を取ると思われるが、もし農家が自分で太陽光発電を手がけて経産省がそれに補助金を出したら、すでに農水省から補助金をもらっている農家が、二重取りでいっそう“補助金太り”することになる。
※週刊ポスト2012年3月16日号