西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、「犬とインフルエンザ」について解説する。
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ピークを過ぎたとはいえ、まだまだ油断できないインフルエンザ。熱を出して寝込んでいるかたわらに犬がやってきて顔をペロペロなんて、ま、うれしくもありますが、ところでコイツにインフルエンザはうつらないのかと心配になったことありませんかね?
ちょっと前までは、犬にはうつらない、っていわれてたんですけどね。最近の研究では、犬もかかるってことが報告されている。例えば、日本で2009年に流行した新型の豚インフルエンザ。
あれが、犬に感染していたらしい。コレ、東京大学の農学部の堀本泰介准教授らの調査報告。山口大学と麻布大学に協力してもらって、ケガや病気で来院した犬の血液を調べたところ、366匹中14匹に、感染歴があることを示す抗体が認められたって。
もっとも、インフルエンザ特有の症状が出ていたわけじゃないらしい。発症しても自然に治っちゃったか、そもそも発症しなかったか……あくまでも血液検査をして初めて分かったってこと。そんなこんなで、インフルエンザで寝込んでいるあなたのかたわらで、犬が丸くなってくつろいでいても、まぁ大丈夫ですから。
ちなみに、人間のインフルエンザではないけど、犬には犬のインフルエンザってのがある。まずは、犬パラインフルエンザ。これは咳が続くケネルコフという病気の素。狂犬病以外のワクチンを毎年うっていれば、その中にこのウイルスに対するモノがだいたい入っている。
もう1つは、2004年にアメリカで発見された犬インフルエンザ。馬のインフルエンザウイルスが犬に感染したらしい。犬から犬への感染も認められていて、ワクチンは現時点でない。ただ、日本では発症の報告もないし、それほど心配はしなくていいってことらしいです。ま、ご参考までに。
※週刊ポスト2012年3月16日号