つらい便秘の症状で悩む女性は多い。女性セブンが行ったアンケートでは便秘になった経験を持つ女性は94.4%、最近も便秘で悩んでいる女性は51.6%という結果が出た。
そうした女性たちから、最近注目を集めているのが、各病院に設立されている便秘専門の外来「便秘外来」だ。この外来を日本で初めて開設したのは順天堂大学医学部教授の小林弘幸さん。小林さんは、同大学で、便秘外来を開設しているが、初診4年半待ちという人気ぶり。
「訪れる人のなかには、深刻な便秘の症状を抱え“最後の砦”として訪ねてくるかたもいます。多いのは20~40代の女性と50才以上の男性ですね。女性に便秘が多いのは女性ホルモンのバランスが崩れやすかったり、男性に比べて筋力がないために排泄が困難になるなどのさまざまな要因が考えられます」(小林さん・以下同)
病院で診療するということは、間違いなく病気であり、その治療には保険も適用される。
「症状を聞き、その後、触診でお腹のはり具合や便の硬さを確かめます。“何となく出ない”との違いを見分けるのはこの段階。便秘は症状によって病名は異なりますが、慢性的に出ない場合は慢性便秘症という診断となり、れっきとした病気です。
深刻な状態になると宿便が腸内にずっととどまっているので、お腹を手で触ってもわかるくらい便が非常に硬くなっているんです。また、便がずっと出ないせいで口臭が強くなる人もいます」
その後、X線や超音波を使って、どういうタイプの便秘なのかを診断。便秘のタイプがわかったら、食事などの生活習慣を改善するアドバイスを行う。
「漢方薬や下剤など、薬を処方するほか、腸内環境を改善する指導を行っていきます」
その後は、1~2か月に1度の治療を継続していく。患者には「治るまでには1年くらいかかります」と伝えるが、小林さんのアドバイスを実践した患者の多くは、1~2か月で症状の改善が見られるという。
そもそも便秘とはどのような状態をいうのか?
「便秘と考えたほうがいいのは、3日以上便が出ない場合。そして排便に何らかの違和感がある場合です。1週間以上便が出ないなら病院へ行ったほうがいいでしょう。ただし、便の回数よりも自覚症状が重要。排便に違和感やストレスを感じていれば、便秘の疑いも。また、便が毎日出ていても、腸内の環境がいいとはいえない人も多いです」
便秘には大きく4つの定義があるという。「腹部にはりや違和感がある」「食欲があまりない」「排便に不安や違和感がある」「3日以上便が出ない」──このうちどれかが当てはまれば、便秘の疑いがあるという。
栄養は腸で吸収され、血液として全身の細胞へ運ばれる。しかし、腸内環境が悪いと血液はドロッとして質が悪くなる。そのような血液は、細胞も取り込まないので、細胞の周辺にある脂肪に栄養がどんどん蓄積されていってしまう。だから便秘を改善すると、結果的にダイエット効果もある、と小林さんはいう。
※女性セブン2012年3月22日号