原発の建屋などの「耐震性」を定める際に、重要なファクターとなるのが「活断層」の存在だ。原発周辺の活断層が引き起こすと想定される地震の規模によって、どれくらい堅牢な建物とするか、どんな対策を取るかが変わってくる。東日本大震災以降も、渡辺満久・東洋大学教授(変動地形学)らによって、活断層の調査・検証が行なわれている。この1年で発見された活断層をはじめ、全国で懸念すべき活断層を渡辺氏が報告する。
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【3.11後、新たに発見された活断層】
【1】富良野断層帯の一部 長さ:約25~27km 地震規模:M7.2 昨年10月、国土地理院が同断層帯周辺に奈江断層(約8km)と北星山断層(約4km)の存在などが新たに判明したと発表。
【2】長井盆地西縁断層帯の一部 長さ:約51km 地震規模:M7.7 昨年10月、国土地理院が同断層帯周辺に大舟木断層(約2km)と今泉断層(約5km)の存在が新たに判明したと発表。
【3】南海トラフ巨大分岐断層の一部 長さ:200km以上 地震規模:M8.0以上 今年1月末、東京大学大気海洋研究所と海洋研究開発機構の研究チームが、紀伊半島沖の海底に東南海・南海地震の震源域にまたがる巨大断層を発見したと発表。
【3.11後、その規模などが見直された活断層】
【4】岩内堆周辺の断層群 長さ:約81km 地震規模:M7.5以上 昨年末、北海道電力が連動地震の発生を新たに考慮すると発表。泊原発沖40~70kmの海底にある。
【5】黒松内低地断層帯 長さ:約55km(最大) 地震規模:M7.7 昨年10月、産業技術総合研究所などが、同断層帯が陸域を超えて海底に連なっていると発表。北海道電力はこれまで、陸域のみの長さ約40km、M7.5を想定してきた。
【6】湯ノ岳断層ほか 長さ:約17km(湯ノ岳) 地震規模:M6.9(湯ノ岳) 昨年8月末、原子力安全・保安院が、福島原発周辺の5つの断層について活断層の疑いがあると発表。同11月、東京電力は湯ノ岳断層を活断層であると新たに認めた。いずれも耐震安全性に影響はないとされている。
【7】棚倉破砕帯東縁付近ほか 長さ:約20km(棚倉) 地震規模:M7.0(棚倉) 昨年8月末、原子力安全・保安院が、東海第二原発周辺で4つの海底断層を含む9断層について活断層の疑いがあると発表。評価見直しが行なわれたが、いずれも耐震安全性に影響はないとされている。
【8】双葉断層 長さ:約16~40km 地震規模:M6.8~7.5
【9】立川断層帯 長さ:約33km 地震規模:M7.4
【10】三浦半島断層群 長さ:約6~22km以上 地震規模:M6.6~7.0
【11】糸魚川―静岡構造線断層帯(中部:牛伏寺断層) 長さ:約50km 地震規模:M7.5~8.5
【12】阿寺断層帯(主部/北部:萩原断層) 長さ:約17km 地震規模:M6.9
上記【8】~【12】は、昨年9月までに地震調査研究推進本部・地震調査委員会が「3・11後に地震発生確率が高くなっている可能性がある」と発表した5断層。
※SAPIO2012年3月14日号