国内

被災地「石巻2.0」プロジェクト 復興民泊や復興バーも常設

 3.11東日本大震災の被災地、宮城・石巻市は、コラムニストの木村和久さんが高校卒業までを過ごした地。木村さんが、縁ある人々の安否を自身の足で尋ねながら、震災直後から現在の状況までをレポートする。

 * * *
『石巻2.0』というプロジェクトを興し、さまざまな施設を運営している人たちがいるのです。石巻の旧市内に『石巻工房』を作り、新たな情報&交流拠点としているのです。訪ねた日はプリザーブドフラワー、バレンタインアレンジ教室を開催していました。沢山の女性が参加してくれて、先生の指導のもと満員で、熱気もムンムン感じられます。いやあ震災以後、旧市内にこれだけ人が集まるんですね。びっくりです。

 そのほか『石巻2.0』は、1泊3000円ほどで泊まれる「復興民泊」や「復興バー」を常時開設し、映画の上映会や限定の復興レストランなど、さまざまなことを企画して石巻を盛り上げてくれています。

『石巻2.0』は、旧阿部新旅館の息子さんなどが音頭を取りつつの地元参加ですが、実は今回取材に立ち会ってくれた実行委員の小泉瑛一さんは、神奈川からこちらに来て、いまは石巻に住所を移して住んでいます。ほんと頭の下がる思いです。

 そうやってフラワー教室を後にするや、どこからともなく音楽が流れて来ました。通りを挟んだイベントスペースには、なんと加藤登紀子さんが、ミニコンサートをしに石巻に来ていました。いやはや東京ですら、なかなか見られない生の加藤登紀子さん。大感激ですね。

 いま石巻の旧市街地はバイパスに商業地を奪われ、“シャッター通り”化し、震災が輪をかけて、スラム化するのを危惧してます。ですからこのように、旧市街地でいろいろやってくれるのは、非常に有難いのです。

『石巻2.0』という名前は、震災前が石巻1.0で、バージョンアップした姿を目指す意味でつけたそうです。ほんと心の底からそう願いたいです。また変わりゆく石巻の姿を見守っていきますから。

※女性セブン2012年3月22日号

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