まもなくプロ野球の新シーズンが開幕するが、BS・CS放送「J SPORTS」が、毎年11月~翌年2月のオフシーズンに放送する『ガンバレ日本プロ野球!?』は、最も高い“球界内視聴率”をたたき出すテレビ番組といわれている。選手だけでなく、球団職員や審判にもファンは多く、「ガンプロ」「ガンバレ」などといった略称で親しまれている。普段は見られないような選手の素顔、そして本音を聞けるとあって、プロ野球ファンの間でも人気が高い。
メインMCを務めるのは、金村義明氏(元近鉄、中日、西武)と大塚光二氏(元西武)の2人。金村氏が関西弁の軽妙なトークで場を盛り上げれば、大塚氏が予期せぬ天然ボケで爆笑を誘う。二人が番組について語り合った。
大塚:カネさんが一番印象に残ってる回はいつです?
金村:やっぱりWBC直前に出てもらったイチローかな(2006年)。あんな大事な時にホンマに出てくれるんかいなと思ったけど、「練習の手伝いをしてくれたらOK」っていわれて、オレが打撃投手として室内練習場で一生懸命投げたんよ。甲子園優勝投手のプライドもあるし、打ちとってやろうと思ってマジで投げたけど、イチローも真剣で、8割は会心の当たりで打ち返された。残り2割はボールやったから、打率にして10割か。
大塚:ボクも20球ほど投げましたけど、ほとんどがボテボテの打球でしたよ。イチロー相手には、ボクみたいな投手がええんちゃいますか(と胸を張る)。
金村:いや、光ちゃんは緊張して、暴投ばっかりやったやん。
大塚:ああ、そうや。イチローから「すいません、他の人に代わってください」っていわれちゃいました(笑い)。
金村:インタビューは1時間ぐらい。面白かったけど、後にも先にもあんな返答に困る禅問答のようなインタビューは初めてやったな。
大塚:「WBCはバリバリのメジャーリーガーが相手だが」という質問に、「バリバリという言葉の定義は何か」って返されてましたよね。
金村:あとは「ボクは色でいうとブルー。金村さんはピンクですね」とかな。全然意味がわからんかった(笑い)。それ以上に困ったのは収録の後。イチローはWBCに対して真剣で、「他のメンバーが“楽しむ”とコメントしたらボクは辞退する」っていってたんや。ところが、その後にロッテの選手のところに行ったら全員が「楽しみます」っていうてしもうて。オンエアでけへんかった(笑い)。
※週刊ポスト2012年3月23日号