株式投資の大きな魅力のひとつは、株主になっている企業からインカムゲイン、つまり配当金や株主優待が得られることだ。 そして今、配当面から日本株投資の魅力が高まり、高配当銘柄こそ買いだとマネーのプロは見ている。立花証券執行役員の平野憲一氏は語る。
「昨年来、全体相場が下落したことで、1株当たりの配当を株価で割った比率である配当利回りはおしなべて高くなっています。 低金利状況が続き、日本国債の金利が年1%程度というのに、現在の東証1部全銘柄の今期予想ベースの平均配当利回りは年2%超となっている。今や優良銘柄でも配当利回りが年3%台、4%台という銘柄がたくさんあるのです」
日本企業は3月末決算が大半で、その時点までに株主になって権利を有していれば、配当や株主優待が受けられることになる。つまり、今が仕込み時なのだ。
ただし、高配当利回り銘柄を狙うなら、いくつかの留意点がある。
配当や株主優待を受け取るためには、3月末の「権利確定日」(今年は3月30日)に株主になっていなければならない。だが、確定日ギリギリに株を購入したのでは権利を得られない。手続きの関係上、確定日の3営業日前までに株を買っておく必要がある。その権利付き株式の最終売買日(権利付き最終日)は、今年は3月27日だ。
例えば、27日に買った人はその翌日に全株を売ったとしても、配当や株主優待が受けられる。一方、「権利落ち日」となる28日に買った人はそれが受けられず、次の権利確定日まで待たなければならない。
「そのため、高配当利回り銘柄やおいしい株主優待のある銘柄は、それを狙った買いが増えることにより、権利付き最終日が近づくにつれて株価が上昇し、権利落ち日直後に下落する傾向が例年見られるのです」(前出・平野氏)
1日違っただけで配当や株主優待が得られなくなるのだから、売られやすいのは自明の利か。
※週刊ポスト2012年3月23日号