3月10日の東京大学、13日の東京芸術大学の発表で、国公立大学の前期合格発表が完了した。今月下旬にかけては後期日程などの合格発表が続き、2011年度の受験シーズンもいよいよラストを迎える。だが4月からは、新受験生たちの新たなチャレンジがスタート……ということで、不安と期待入り混じる新受験生とその家族が、気になりそうな情報をピックアップ。
まず改めてここ数年の受験にまつわる話題や傾向は? というと、少子化の進行で「受験バブル」は崩壊。“不合格者を出さない大学”として、予備校や受験生から「BF(ボーダーフリー)ランク」「Fランク」「Fラン」とカテゴライズされる大学が出るなど、志望校やランクを選ばなければ、誰でも大学に入学できる時代が到来している。
しかし学歴や出身大学が、その後の人生に影響する社会の仕組み自体は変わっていないため、“Fランだけど、とりあえず大学は出たもん”というのでは、将来的に不安が残るということも。その一方で、経済状況や親の懐具合が受験にも影響して、かつての「浪人してでも、いい大学へ」から、「現役合格」によりウェイトが高まっているのも、最近の大きな特徴だろう。
柔らかめな話に目を向けると、藁にもすがりたい受験生の気持ちと社会全体の不安感にマッチして、ネットニュースやワイドショーでも話題となったのが、全国各地の「パワースポット詣で」や、それに便乗した「合格祈願代行サービス」など、“それってちょっと、不謹慎なんでは?”“そんなんでホントに「御利益(ごりやく)」あるのか!?”とも思われる神頼み系ビジネス。
またすでに定番の「キットカット(きっと勝つと)」をはじめとする、縁起モノ食品やあやかりグッズもアイテム激増中。「コアラのマーチ(寝ていても木から落ちない)」、「ダルマサイダー(合格祈願を受けた原料で作ったサイダー)」、チキンカツ入りの「チキンラーメン(キチンと勝つ!)」など、“ダジャレかよっ!”とツッコミつつ、本番シーズンに突入したらつい買ってしまいそうだ。
真面目なところでは、受験指導を行なう受験塾や予備校の動きとして、名物講師が全国の教室に向けてサテライト授業を行なうといった画一的な手法は影をひそめつつあり、受験生1人ひとりの個性にフィットする個別授業のほか、塾や予備校それぞれが特色を打ち出した授業が注目されるようになってきている。例えば、不登校で高校にはほとんど行けなかった子供が、受験塾の熱血先生の1対1授業で学ぶ楽しさに目覚め、国立大にストレート入学、といったケースもあるという。
とはいえ自分に合った個性的な塾を探すのは大変――そこで、最大公約数的に“多くの受験生から支持されているのは?”方向をチェックしてみると、オリコン顧客満足度ランキングの「大学受験塾・予備校 総合満足度ベスト10」で、6年連続1位となっている情報が。ネットなどでよく目にする、オリコン顧客満足度ランキングだが、全カテゴリー最長で1位をキープしているのが、この大学受験のカテゴリーというのは、ちょっと意外かもしれない。
6年連続1位を獲得しているのは、「現役高校生のための予備校」が特徴の早稲田塾。現役合格に特化した点や1人ひとりが質問しやすい環境といった、トレンドにフィットしている点もあるようだが、それ以外にも他校とは一味違うシステムが目立つ。“高校生相手に、レベル高っ!”という「竹中平蔵 世界塾」大学教授との共同研究「スーパーロボティクスプログラム」。オリジナルの英語学習メソッド「英単語道場」などオリジナリティの強いカリキュラムが並ぶ。
受験にかかる経済的負担を軽減する、料金面でのサービスもユニーク。4月から高1と高2になる生徒を対象に、平均年間授業料が25~50%免除となる「新・スカラシップ特典」、携帯電話の割引のように一定の単位以上で授業料が一律料金となる「パケット制」、兄弟姉妹が在籍の場合さらに授業料を半額免除などのキャンペーンも充実。塾もここまでやらなければ、もはや支持を集められない、ということか。
縁起モノのダジャレや神頼みにすがってでも、“合格したもん勝ち”の大学受験だが、王道はやっぱり“ちゃんと勉強する”こと。数年後の自分が合格というごほうびを受け取れるようにするには、自分らしい準備や勉強法を早く見つけるのがポイントだ。