ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子といった個性的な論客が、毎号書き下ろしの「オピニオン」を発信する『メルマガNEWSポストセブン』。3月9日配信の6号では森永卓郎氏が登場し、橋下徹市長による、大阪市職員の給与削減について言及している。
大阪市のホームページによると、平成24年度の給与・手当カット後の年収は行政職が639万円、技能労務職が578万円となっている。単純に年収を比べると、行政職のほうが1割も高いのだ。この事実について「(橋下市長は)行政職を敵に回したくないということだろう」と指摘する森永氏は、さらに以下のように続ける。
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いずれにしても行われることは、行政職の給与は守って、技能労務職の給与を大きくカットするということだろう。実際、橋下市長は「削減額の一部を地下鉄運転士ら交通局の職員全体で肩代わりするという提案があれば、受け入れる」という方針を明らかにしている。市職員全体で肩代わりするのではなく、あくまでも交通局のなかでカタをつけろというのだ。
もちろん、民間でも事務職と技能労務職の間には賃金格差がある。橋下市長は、それぞれの職種ごとに民間の水準に合わせろという話をしているのだ。しかし、公務員はそもそも、全体の平均を民間に合わせて、職種間の差をあまりつけないという給与体系を採ってきた。だから、大阪市が特殊というよりも、技能労務職の給与が高いというのは、大都市の自治体にほぼ共通する現象なのだ。
もう十数年前の話になるが、経済企画庁の研究会で、ある委員が「東京都の清掃局職員と東大教授が同じ給料をもらっている。これは世界的にみておかしいのではないか」という問題を提起したことがある。委員の間で色々な意見がかわされたが、「それはそれでよいのではないか」という結論になった。東大教授は休講にすると学生が喜ぶが、ゴミ収集が来ないと都民が困るというのが、そのときの理由だった。
いずれにしても、本当に必要なことは、市役所職員の給与を全体として民間と均衡させていくことであって、現業職をいじめることではない。バスの運転手が悪者になっているが、彼らはお年寄りを中心に市民の足を確保するためにずっと働いてきたのだし、そもそも行政職とあまり変わらない給与テーブルを提示されて、就職してきたのだ。
※上記の記事全文は現在配信中の『メルマガNEWSポストセブン』6号で読めます。