がんをはじめとした生活習慣病には日々、画期的な治療薬や治療法が開発されているが、心臓病疾患の治療にも新たな試みがいくつかある。
医療機器関連企業のテルモは、大阪大学の澤芳樹教授らと共同で、心筋シート(細胞シート)の技術を研究。重い心不全の患者の太ももから筋肉組織を採取し、培養してシート状にしたものを心臓に貼りつけ、心臓の機能を回復させる世界初の治験を始めると2月29日に発表した。5年後の承認申請を目指しているという。
補助人工心臓の機能も改良が進んでいる。国内ではテルモやミスズ・サンメディカルHDなどが開発競争を繰り広げているほか、欧米の企業とも鎬を削る。
「欧米では、心臓移植か人工心臓を埋め込むかという選択が一般化しているそうです。日本の場合、心臓移植の環境が万全とはいえませんから、今後は埋め込み式の人工心臓がもっと着目されるはずです」(信州大学・池田宇一教授)
ちなみに、人工心臓での最長生存期間は約7年半。今後はこれを破る記録が続出しそうだ。
※週刊ポスト2012年3月23日号