寡黙で実直なイメージのある阪神・和田豊監督だが、阪神OBの一人は、「とんでもない、アイツほどしたたかなヤツはいないよ」と苦笑する。
「お家騒動を毎年のように繰り返す阪神一筋で、ダテに27年間もユニフォームを着ていない。やっていいことと悪いことを知っているから生き残れた。意外に思われるかもしれないけど、球団上層部へのゴマすりは、現役時代のプレースタイルと同じく技巧派だよ」
昨年のドラフト1位は慶大の伊藤隼太。これは南信男・球団社長が慶大OBと知った上で、和田監督が指名を強く要望したといわれている。また、坂井信也オーナーがキャンプ視察に来た折には、フリー打撃の順番を調整して藤川球児VS鳥谷敬という主力同士の対決を演出していたという。
「表面上は、自分が前面に出ることを嫌って、就任以来一貫して取材を断わっている。真弓野球との違いを聞こうとしたら、“監督就任会見で全部喋ったから”と受け付けなかった。でも、選手たちは監督の“もうひとつの顔”を知っているから、むしろ恐怖心を覚えている」(在阪スポーツ紙記者)
※週刊ポスト2012年3月23日号