プロ野球開幕まであとわずか。今年のセ・リーグでは巨人の下馬評が高いものの、もともと、巨人が抱える弱点は「正捕手と原監督の采配」にあるといわれてきた。今年は特にその傾向に拍車がかかるという。
まずは正捕手の阿部慎之助。野村克也氏から、「打撃型の捕手は投手に対する配慮が足りない」と名指しされるほど、リード面での不安が指摘されてきたが、今年のオープン戦で阿部の配球を見た各球団のスコアラーたちは、「(FAでやってきた)杉内(俊哉)の持ち味が理解できていない」と口を揃える。
「3月3日の西武戦、阿部は、カウント3ボールからストレートを要求した。これが阿部の悪い癖。澤村(拓一)のような力のある投手ならそれで通用するが、球の速さではなくキレやワザで打者を押さえ込む杉内やホールトンには不向きな配球で、痛打される危険がある。阿部のリードは2人の長所を潰すばかりなんですよ」(担当記者)
ソフトバンク時代も杉内には山崎勝己が、ホールトンには細川亨が女房役となって、繊細なリードで投球を組み立ててきた。阿部では、そのインサイドワークが望めず、鳴り物入りの2人を「並以下」にするというのだ。
最大のネックは、豪華戦力を与えられて舞い上がってしまったのか、原監督の朝令暮改ぶりがエスカレートしていることだ。
「今年はクリーンアップを固定、じっくり腰を落ち着けて戦う」
と宣言した方針も、アッサリと変更された。打順が決まらない新外国人・ボウカー然り、練習試合やオープン戦で打線を機能させようと進塁打に徹した2番打者、松本哲也や藤村大介を「ヒットがない」とベンチに下げてしまう迷采配ぶりにナインは困惑しているという。
※週刊ポスト2012年3月23日号