長く低迷する日本株市場を尻目に2011年の年初から株価は一本調子で上昇し、時価総額は5000億円を突破したグリー(東証1部・3632)。数少ない上昇株のひとつとして投資家の注目を集め、東証の売買代金ランキング上位の常連に躍り出た。年明けには利益確定売りなどから一転して大きく下落したが、2月に業績予想を上方修正したことから再び急騰。この乱高下に出来高も大きく膨らんだ。
では、グリー株の買い時、売り時はいつなのか、デジタルワン株式会社の田中達也氏がチャートから分析する。
* * *
2010年11月につけた875円を底に、約1年間にわたって上昇トレンドを描き、2011年11月には上場来高値となる2840円をつけた。しかしその後の急落で下落トレンドに転換、1971円まで下落し下げ止まった。
ところが、2012年6月本決算の連結経常利益と営業利益の予想を200億円ずつ上方修正したことから2614円に急騰、下落トレンドのオーバーバリューライン(高値トレンドライン)に到達した。これで再度上昇トレンド入りしたようにも見えるが、このリバウンドで3分の2戻しを達成したうえ、この急騰の上昇率は32.6%と過熱気味だ。
過去の上昇相場の上昇率の平均(極端に高いものと低いものをのぞく)は26.6%なので、銘柄が持つ上昇能力を超えているとも判断できる。いつ調整に入ってもおかしくない局面なので、安全性を重視するなら投資は見送るのが無難だ。
しかし環境的には、好調なニューヨーク市場に引っ張られる形で世界的な株高の可能性も出てきた。上昇トレンドに転換した日経平均にも後押しされ、このままオーバーバリューラインを突破し、再び上昇トレンド入りする可能性もある。この場合、2490円前後に下値抵抗線があるので、上昇後の押し目がここまで来たら打診買いしてみるのもいいだろう。
この銘柄に限った話ではないが、売り目標を立てる場合はその銘柄が持つ上昇能力(前述した過去の上昇率の平均値)の範囲内に収めるのが原則だ。2490円前後で買いを入れた場合、26.6%の上昇能力を見込んだ株価は3152円なので、一般的にはここが目標になる。ただし、グリーの場合その前に2840円という上場来高値の壁があるので、この前でいったん売却するのが無難だろう。
※マネーポスト2012年春号