齢70の中日・高木守道監督は、自らに課せられた課題をよく自覚しているようだ。それは「3連覇」……ではなく、「落合博満前監督カラーの払拭」だ。
「若い頃と違い、ゆったりと野球が見られるし、欲もなくなったよ。余計なことはしないでもいいんじゃないか」
達観した雰囲気でそう語り、投手部門は3歳年長の権藤博・投手コーチに任せきり。本人はキャンプで毎日100人のファンにサインを実行して、中日OBを呆れさせた。
「導入されることが決まった予告先発制は、高木監督にとって渡りに船でしょう。“開幕戦は山本昌、第2戦は川上憲伸”と、懐かしい名前を揃えると決めていた。勝敗を度外視しても、地元重視の選手起用で、集客力アップを狙っているようです」(中日番記者)
さて気になるのは成績だ。投手陣はもともと鉄壁だけに、
「下手にいじろうとしていない分、安心できる。昨季の59敗から少し後退するが、65敗程度じゃないか」
中日OBはこう語る。
しかし、今年40歳の和田一浩や同じく42歳の谷繁元信の後継者が育っておらず、補強も44歳の山崎武司のみ。35歳の荒木雅博、37歳の井端弘和と、スタメンは軒並み30代後半という超高齢打線である。
そんな状況を察してか、高木監督は新人・高橋周平の売り込みに熱心だが、選手とのコミュニケーションには問題が残る。
「若手とは話をするが、中堅以上の選手とは口もきかない。そりゃあ、息子(レギュラー選手)より孫(若手)が可愛いのは分からないではないですが……」(前出のOB)
※週刊ポスト2012年3月23日号