株式市場が久々に活況を呈している。多くのアナリストが「ユーロ危機」「世界恐慌」を叫んでいた昨年末に、「年明けに空前の株価上昇がやってくる」と予言した「経済の千里眼」こと経済評論家の菅下清廣氏。その菅下氏から「次なる予言」が飛び出した。最新著『相場の波動はシンプルに読め!』(小学館)を上梓する菅下氏にインタビューした。
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今後数か月の間に、20年続いたデフレ・円高・株安の「三重苦トレンド」がついに転換する――日本経済はいま、その重大な岐路に立っています。
2月中旬から日経平均株価が上がり始めて、3月半ばには早くも1万円の大台に乗せました。この株価急騰は予測どおりでした。
書店の経済書コーナーに「ユーロ危機で世界恐慌になる」、「日本国債が大暴落する」といったタイトルの本が並んでいた昨年12月、「大予言」と銘打ったインタビューでこういいました。
〈来年の早い時点で(中略)いままで国内の深刻なデフレにさえ無頓着だった日銀も、世界大恐慌を回避するためにまとまった金融緩和に踏み切る可能性がある。それは、(中略)歴史的な大マネーバブルがやってくることを意味します。つまり世界のマーケットは、景気の実情とは無関係に株や金融商品が値上がりする金融相場に入る可能性が高いと思います〉(『週刊ポスト』2011年12月12日発売号)
まさに現在、その予言に沿って相場が動いています。
2月14日の金融政策決定会合で、日銀は10兆円の金融緩和策を決定し、消費者物価指数の目標を1%と明言して、「脱デフレ」路線に転換しました。3月にも追加緩和策を決めています。それを契機として株価は急上昇しました。予測どおり、昨年12月から今年1月の株価が底辺になり、その時点で株や金融商品を買った投資家は、すでに大きな利益を上げているでしょう。
現在の相場やその要因を分析するだけでは「相場読みのプロ」とはいえません。上昇トレンドがいつ下降トレンドに変わるのか。その逆はいつか。転換点の「日柄」を予測できなければ、投資で成功して富を築くことはできません。
では、なぜ私にはその予測が可能なのか。
世の中のあらゆる事象には固有の波動、循環、サイクルがあり、もちろん相場にも存在します。私はその波動を重視して未来を予測します。日銀の金融緩和は、たまたま転換点に現われた相場を動かす材料にすぎません。「サイクル理論」を使った未来予測のテクニックは最新著『相場の波動はシンプルに読め!』で詳しく解説していますのでそちらに譲りますが、2012年春に株価の大底サインが出ることは、サイクルが示したとおりでした。
次に投資家が気になるのは、いつまで株価上昇が続くかということでしょう。
日銀の「脱デフレ路線」の表明により、株価は上昇トレンドに入りました。相場の特徴を経験則で言い表わした格言に、「小回り3か月」というものがあります。これに従えば、現在の上昇トレンドは5月のGW前後まで続くと予測できます。これもサイクルから導ける日経平均の目標値は、昨年の最高値である1万857円あたりでしょう。
さて、短期の上昇トレンドはほぼ間違いないとして、問題はその後の展開です。冒頭で申し上げたように、日本経済を苦しめてきたデフレ・円高・株安の長期トレンドが、この数か月で本当に終わるのか。そこを注視する必要があります。
※週刊ポスト2012年3月30日号