ようやく回復基調が見え始めた日本株。では、どんな銘柄がこれからの物色対象となるのか? カブ知恵代表の藤井英敏氏が市場の注目テーマについて解説する。
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さまざまなネガティブサプライズが相次いだ2011年だが、昨年の日経平均の最安値は震災直後ではなく、欧州危機が高まった11月25日の8135円だった。つまり、東日本大震災以上に、欧州危機こそが今の日本株にとって最大の懸念材料となっているのだ。そうである以上、欧州危機に明らかな解決の道筋が見えるまでは、その影響を受けやすい主力株に大きな上昇は期待できない。
そこで注目したいのが、欧州危機や為替動向、株価指数といった外的要因に振り回されることなくおカネが集まるテーマである。
足元をみると、震災の復興需要に加え、1960~70年の高度経済成長期に構築された大量の社会インフラが、コンクリートの耐用年数とされる50年程度を相次いで迎えつつあり、株式市場では、橋梁や道路など「コンクリート新時代」関連株への資金流入期待が高まっている。そうなると、インフラ関連でコンクリートは外せないテーマとなるが、銘柄選びにはもう一工夫が必要だろう。
ずばりいえば、その筆頭には「除染」を挙げておきたい。原発事故の影響は根深く、どう考えても除染費用は政府の描く1兆円規模では足りないだろう。まだまだ時間と費用がかかる大きなテーマであり続けるだろうし、原発事故の影響でいえば「省エネ・節電」、さらには「代替エネルギー」なども長期的なテーマとなるのは間違いない。
そこで、これらのテーマに沿ったもので、かつボラティリティ(値動き幅)の高い小型株に目を向けたい。
具体的には、「除染」なら、清水建設系の道路会社である日本道路に注目。同社は実際に福島県で独自の除染技術の実証実験を行ない、成果を上げている。同じく福島県で実証実験に成功した三井住友建設、さらには塗ってはがして除染できるという塗料を開発した神東塗料、セシウムを吸収する物質を含んだ添加剤を開発したハザマなどが有望と見ている。
「省エネ・節電」でいえば、省エネシステムなどを手がける東光電気、変圧器や電力監視制御システムの高岳製作所、計測・制御機器が主力の大崎電気工業などに注目しておきたい。
※マネーポスト2012年春号