「遠目でいいから、上を向いたり下を向いたりしている者をチェックしなさい」――教育委員会からはそんな「指示」があり、大阪府立和泉高の中原徹校長はそれに従ったという。
しかし、今度は「監視命令」を出したはずの府教委が、校長に「厳格すぎる」(生野照子・委員長)と釘を刺した。その発言を知った橋下徹・市長は、「梯子を外すのは許されないマネジメント。責任感の欠如だ」と中原校長を擁護したため、「橋下vs府教委」のバトルに発展した。
こうした経緯が3月13日付の読売新聞で報じられると、教員たちの間には動揺が広がった。3月上旬に卒業式を終えたある府立高教員が語る。
「和泉高以外にも監視が行なわれたと聞いています。私の勤務先では行なわれなかったようだが、再三にわたって起立するように校長から念押しされた。管理能力不足といわれないように必死なのでしょう」
“口パクチェック”を巡っては、教員側からこんな“反撃”も起きている。府教委の指示に従い、数人の教師が口元を確認した大阪市内の府立高に勤務する音楽教師は憤る。
「確認していた校長先生たちは、斉唱しながら私たちの口元を見ていたのでしょうか。歌いながら別のことを考えていたとすれば、それこそ君が代に気持ちが入っておらず失礼な話です」
※週刊ポスト2012年3月30日号