ロンドン五輪の女子マラソン代表に尾崎好美(30・第一生命)、重友梨佐(24・天満屋)、木崎良子(26・ダイハツ)の3人が選出された。選考選手のなかで最も活躍が期待されるのは、1月の大阪国際を日本歴代9位の2時間23分23秒で初優勝した重友に違いない。
突如現われた新星に対し、マスコミは、ロンドン五輪の救世主のごとく報じた。事実、ロス五輪日本代表の増田明美氏は重友をこう評価する。
「スケールの大きさを感じます。大阪はマラソン2回目の挑戦でしたからね。168cmの長身にもかかわらず上半身と下半身の連動がスムーズ。身体の軸がしっかりしているから、リニアモーターカーがレールの上を浮いて走るようなイメージがありますね」
大阪では25km過ぎから独走し、レースを自らコントロールしていた。ここ一番の勝負魂もある。
「彼女の特技は剣玉。だからなのか、集中力がすさまじい」(チーム関係者)
天満屋としては4大会連続の代表選手である。ただし、意外にも地元岡山出身は初めてだという。
「彼女は母子家庭で育ち、小学校から地域のスポーツクラブで陸上に励んでいた。そこに教えにきていたのが天満屋の選手たちだったんです。小さい時から、『将来は絶対、あのピンクのユニフォームを着て、オリンピックにも選ばれたい』と周囲に語っていたそうです」(増田氏)
一方でこんな声もある。実業団陸上部監督がいう。
「天満屋は五輪に選手は送り込んでいますが、結果が伴っていない。シドニーの山口衛里が7位、アテネの坂本直子が7位、北京の中村友梨香が13位。天満屋監督の武富豊氏が陸連女子マラソン部長も務めていることから、選考を自らに有利に進めているのではないかとの声もある」
重友の活躍によって、天満屋の面目躍如なるか。
※週刊ポスト2012年3月30日号